「6組に1組の夫婦が不妊に悩んでいる」とも言われています。しかし、そこから不妊治療に踏みきるには心情的にハードルが高かったり、金銭的に難しい場合も。

「病院やクリニックに行く前の最初のステップとして、“タイミング法”についてのきちんとした知識を得て、自宅で試すことをおすすめします」と教えてくれたのは、不妊治療の専門家である杉山力一先生。詳しく伺いました。

体温を記録する様子
妊活はまず基礎体温を把握することから!
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妊活の第1歩は基礎体温から!正しく測るためのポイントとは?

タイミング法とは、もっとも妊娠の可能性が高い排卵日を予測し、その期間に性交を行う、すなわち赤ちゃんを授かるチャンスを得ることです。今回は、ご自身でできる効果的なタイミング法のとり方をご紹介していきます。

●生理日から周期の流れを、基礎体温からホルモンの変動をキャッチ!

タイミング法での妊活を行うにあたって、いちばん意識すべきは「排卵日」です。排卵日には個人差があり、「この日」と事前に断定することは困難です。そのため、さまざまなご自身の記録から排卵日を特定します。

まずは、「生理日(期間)」と「基礎体温」を記録して、ご自身の周期の流れをつかみましょう。

月経周期は、生理開始日からスタートし、平均28日のサイクルで繰り返されます。この月経周期が開始してからおよそ2週間後に排卵が起こると考えられています。生理日を記録して、自分の周期は約何日間か、そして排卵日はどのあたりに該当するかを確認してみましょう。

周期はあくまでも目安となります。タイミングの精度をより高めるためには、「基礎体温の計測」が欠かせません。基礎体温とは、人がもっとも安静な状態で生体維持に必要な最低限の機能しか働いていないときの体温です。この基礎体温を測り傾向を見ることで、周期やホルモンの状態などがわかるようになります。

ここからは、この「基礎体温」についてさらに詳しくご説明します。

●基礎体温から正しくタイミング予測するためのポイント5つ

基礎体温を測る際には、次の5つのポイントを心がけましょう。

【基礎体温計測の5つのポイント】

1. 婦人体温計を使いましょう。 2. 目覚めてから、起き上がったり話をしたりする前に、横になったまま安静な状態で測りましょう。 3. 体温計は枕元のすぐ手の届くところに用意しましょう。 4. 体温の記録とともに、その日の体の状態もメモしておきましょう。 5. 2~3か月続けて測りましょう。

基礎体温の変化は0.3~0.5℃ほどしかないため、0.01℃単位で計測できる専用の婦人体温計が必須です。

計測のタイミングは「朝起きてすぐ」。ここで重要なのが、トイレに立ったり、上半身を起こしたりしないこと。体温計を枕元に置いておき、目が覚めたら静かに体温計を取り、極力からだを動かさずに計測するよう心がけましょう。

計測ができたら、次は記録です。基礎体温は身体の状態にも左右されがち。そのため、記録する際には、体温だけでなく、体調不良や生理、性交日、服用している薬など、そのときの体の状態もメモをすること。

計測から記録まで、最初は面倒に感じると思いますが、継続することで毎朝の習慣となります。周期は一定ではありませんし、そのときの体調によってずれることもありますので、少なくとも2~3か月は続けて測ることが大切です。

●ガクンと下がったらチャンス(排卵日)のサイン! 体温表をチェック

体温計を持った女性の画像

記録がたまってきたら、実際に周期の変動を確認してみましょう。記録したグラフはどのような動きをしているでしょうか?

基礎体温は一定ではなく、女性ホルモンや体調の影響によって変化します。正常な基礎体温は、「高温期」と「低温期」に分かれており、この2つの波を繰り返す「二相性」という状態を示します。

月経が開始すると同時に、体温が低くなり、これを「低温期」といいますが、ここから約2週間低温期が続いた後、ガクンと体温の下がる日が現れます。その日が「排卵日」です。排卵日前後に性交をすると妊娠の可能性が高まります。

排卵日以後、体温は上昇し、次の月経が始まるまでの約2週間、「高温期」が続きます。

体温表の記録を確認する際には、自分の周期のなかから『ガクンと体温の下がっている日』を探して、排卵日の目安にしてくださいね。

●毎日の生活習慣で基礎体温の精度をアップ!

基礎体温は、ちょっとした体調によって上下してしまいます。そのため、少しでも安定した基礎体温を計測し、排卵日が予測できるよう、毎日の生活で次のことに気をつけてみましょう。

・睡眠時間は最低6時間!

毎日、睡眠時間を最低6時間は取るようにしましょう。4時間未満になると、睡眠中に体温が下がりきらず、高い体温が計測される可能性があります。忙しい毎日のなかでも、しっかりと睡眠時間を確保するように心がけましょうね。

・喫煙はNG! 妊娠後のためにも控えて

基礎体温は、女性ホルモンの働きを示すものですが、喫煙で摂取する「ニコチン」は、体内をめぐると女性ホルモンをつくられにくくしてしまいます。また、喫煙は生まれてくる赤ちゃんにも影響が出てしまいます。体温が正しい曲線を描けるよう、そして将来生まれてくる赤ちゃんのために、喫煙は控えてくださいね。

●検査薬、子宮頚管粘液…基礎体温と総合チェック!

基礎体温以外にも、排卵日を予測する方法があります。基礎体温管理と併せて、参考にしてみてくださいね。

・排卵日テスター

市販の検査薬を用いて排卵日を知る方法もあります。種類ごとに検査方法が違いますので、しっかりと説明書を読み、正しく検査してくださいね。

一般的には尿を用いた検査が多く、排卵を促すホルモンの濃度の変化をとらえて排卵日を特定します。タイミングとしては、生理が始まってから10日目くらいから、12時間ごとに測定することをおすすめします。

タイミングが正しくても、尿の状態による影響もありますので、基礎体温をもとに、総合的な判断をするようにしましょう。
また生理周期が一定しない、いわゆる正理不順の方には、尿検査薬は不向きですので別の方法で検査してみましょう。

・子宮頚管粘液チェック

子宮の入り口にある子宮頚管から分泌される粘液、頸管粘液の状態からも排卵日を予測することができます。

両足を軽く開き、清潔な指先で、右手の人差し指と中指を根元まで膣の中に入れます。コリっとしたところにあたったら、膣の外に指を出し、指先に粘液がついていることを確認してください。

排卵が近づくと、この粘液が途中で途切れずにスーッと糸を引くように長く伸びます。
ただし、頸管粘液は伸びる長さも分泌量も個人差があります。「何cm伸びたら排卵日」と断定することはできません。何度も試し、ご自身の状態を知っておくようにしましょう。

排卵日のタイミングは、ご自身の記録さえあれば自宅でも予測することができます。なかなか妊娠できない、という方は、一度ご自身の体のリズムと、正しい排卵日を予測してみましょう。
まずは、明日の朝から早速、基礎体温を測ってみませんか?