昨今人気の50代のひとり旅。仕事や育児などが落ち着く世代でもあり、長年憧れていた場所に旅に出る人も多くいるそう。58歳で、念願のタイ料理をめぐる旅に出て、著書も多く出しているエッセイストの金子由紀子さんに、慣れない土地で旅をする際に目標にしたことや、旅の準備について語ってもらいます。これからひとり旅に出る人にとっても役立つ情報が満載です。
すべての画像を見る(全5枚)旅の5つの目標
「かわいい子には旅をさせよ」という諺(ことわざ)にある「旅」は、本来は楽しいレジャーではなく「苦労」を意味しています。
自分の生活圏から出る「旅」には危険がいっぱい。慣れない土地であれもこれも、と欲張ると、ぼんくらな私は虻蜂(あぶはち)取らずになりかねません。
そこで、最初に、『これだけはやって帰ってくる』という目標を5つ、立てました。「ラオスに足を延ばす」は、可能ならチャレンジする努力目標としました。
1 イサーン料理を食べて学ぶ
2 タイ国鉄の夜行列車に乗る
3 メコン川を見る
4 メークローン鉄道市場を見学する
5 チャオプラヤー川を見る
イサーン(タイ東北地方)に滞在するツアーというのは、たぶんほとんど存在しないでしょうし、この「5つの目標」すべてを入れ込んだツアーなんて絶対ありません。
旅行会社に依頼すると、オーダーメイドの高価なものになってしまうので、移動も宿泊も、自分で手配することにしました。
何日間の旅にするか
まずは期間。自分の現在の体力を考慮して、今回はひとまず、当初予定していた1か月を3分の1に圧縮。12日間とし、タイとの移動日を除けば10日間。
これだけあれば、バンコクから入って鉄道でイサーンに向かい、またバンコクに戻るという旅程でゆったり楽しめそうです。
宿泊施設を決める
次は宿泊。今は、様々な宿泊情報サイトがあるので、ホテルを探すだけなら簡単なのですが、今回の旅の主目的であるイサーン地域は、じつに広大(タイ全土の3割近く)。
どこになにがあって、なにができるのか、皆目わからない状態のままでは、なかなか決められません。そこで、情報を得るために、Facebookでイサーン在住の方や愛好者が集まるグループ、「イサーンの歩き方」に参加しました。ここから観光情報、おいしいお店、在住者のための有益な情報を得ることができます。
メンバーの皆さんが発信する情報の中に、「ホームステイができる場所がある」という情報を発見! 個人ではなく、地方のコミュニティが街おこしのために行っているもののようです。
団体の名前は「バンドゥア・コミュニティ」。地域の農業・漁業者による街おこし活動の一環として、ホームステイ客の受け入れや、工芸品作りのワークショップ、ボートクルーズなどを行っているらしい。
ホームページには英語サイトもありましたが、具体的なサービスやアクティビティに関する記述は見つけられませんでした。
Facebookの主宰者に、「日本人ですが、ホームステイさせていただけますか?」というメッセージを送ったところ、返信があり、受け入れてもらえるとのこと!
しかも宿泊場所は、タイ国鉄東北線の終点・ノーンカーイ駅が最寄りの小さな町・バンドゥア。メコン川のすぐ近く、対岸にはラオスが見えるようで、私の希望通りです。これで、旅に目鼻がつきました。
とりあえず2泊を申し込んで、タイ入国当日はバンコクに宿をとることに。夜行の車中1泊を含み、これで4泊が確保されました。あとは、現地で情報を得ながら、都度都度、宿を探しながら移動すれば大丈夫でしょう。
ホームステイと絡めたアクティビティの内容は「これからアレンジします」とのことで、どんな滞在になるのかはまだわかりません。
でも、なんとなく楽しいものになるのではないかと勝手に決め込み、予約が取れたことで安心していました。