その不調、「慢性上咽頭炎」が原因かも?
すべての画像を見る(全8枚)頭痛、後鼻漏、アトピー、肩こり、めまい、掌蹠膿疱症、潰瘍性大腸炎、咳ぜんそく、月経異常…。一見、関連がない症状にみえますが、じつは大元の原因は「慢性上咽頭炎(まんせいじょういんとうえん)」にあるかもしれません。
今回は、慢性上咽頭炎治療の第一人者であり、4000人以上の患者さんを診てきた医師・堀田修先生に慢性上咽頭炎と、セルフケア「かにゆで体操」を教えてもらいました。
「上咽頭」は、異物と接する最初の場所
上咽頭とは鼻の奥にあり、鼻から吸い込まれた空気中のホコリやダニ、細菌やウイルスといった、“異物”を入れないための「関所」の役割をしています。
アーンと口をあけた奥が「中咽頭」、その上の口蓋垂(のどちんこ)の裏側あたりが「上咽頭」です。そこに慢性的な炎症が起きた状態を「慢性上咽頭炎」と呼び、冒頭で挙げたような症状を引き起こしてしまうのです。
まずは、下記のチェックリストをお試しください。
<チェックリスト>
- 朝起きると、のどがイガイガする、痰がからむ
- 鼻水がのどを流れ落ちてくる
- 咳がいつまでも続いている
- 疲れ、頭痛、肩こりがとれない
- しょっちゅう風邪をひく
- 口を閉じると、あごに梅干しのようなしわができる
- 唇がいつも乾燥している
- 耳の下(胸鎖乳突筋)を触ると痛みがある
- 睡眠中、いびきや歯ぎしりがある
- すっぱいものがこみ上げることがある
- 舌の側面に歯形がついている
- 煙草を吸っている
2つ以上当てはまる場合は、慢性上咽頭炎の可能性があります。
口呼吸を予防する「かにゆで体操」
慢性上咽頭炎には現在、処方できる薬はありません。治療するには、医療機関で有効な治療法「EAT」(イート・上咽頭擦過療法)を受けるのがベストですが、痛みを伴うことや、正しい知識を持つ医師でないと行えないという側面もあります。
そこで、慢性上咽頭炎を予防し、症状の悪化を防ぐのにおすすめのセルフケア、「かにゆで体操」を紹介します。
立ったまま「かにゆで」と発声
- (1)<か>舌先を上あごに当てるようにする
(2)<に>口角を左右に思い切り広げる
(3)<ゆ>唇の先を突き出す
(4)<で>下あごを上にあげ、舌をとがらせてまっすぐ上に向かって突き出す
下あごや頬のたるみの改善効果も期待できますよ。
「かにゆで体操」は口の周りの筋肉(口輪筋)をやわらかくして、舌の位置を正常化し、自然と鼻呼吸を促します。口呼吸は慢性上咽頭炎の一因となるので、普段から鼻呼吸を意識することが大切です。
※記事の初出は2023年9月。内容は執筆時の状況です。