この春から中学生の道徳の教科書に取り入れられるなど、怒りを上手にコントロールする技術である「アンガーマネジメント」が注目を集めています。
ここではアンガーマネジメントの専門家・安藤俊介さんに、読者から寄せられた、怒りにまつわる悩みに答えてもらいました。
ちょっとしたことで不機嫌になる夫。つき合い方は?
●読者のお悩み:カッとしやすい夫。どう対応すればいい?(33歳・北海道)
私自身はのんびりしていてあまり怒らない性格なのですが、夫はカッとしやすい性格。私からしたら「そんなことで?」と思うような些細なことで苛立たれてしまい、場の空気が悪くなることが多くて、私も嫌な気持ちになってしまいます。
しばらくすると落ち着くし、本人も「カッとしやすくてごめん」とは言うのですが、怒る機会そのものを減らしてほしいというのが私の本音です。どうすれば変わってもらえるのでしょうか?
●安藤さんのアドバイス:夫の怒りのスイッチが入るタイミングについて、夫婦で考察しておこう
アンガーマネジメントの考え方では、イラッとすること、怒ること自体は悪いことではありません。
怒りは、「他人に向かう」「自分に向かう」「ものに向かう」の3パターンに分けられます。これらの行動に移す前に怒りをしずめることがカギになります。
今回のケースでは、夫の怒りのスイッチが入るタイミングについて、夫婦で考察しておくことが大切。夫がどういう場面、言葉、態度で反応しやすいのかをみつけておくのです。パターンがわかれば、ある程度回避はできます。
もし「人混みに行ったら100%怒る」なら、そもそも行かなければいい話。人混みに行くと人酔いしてイライラするというケースは結構あります。
●人によって怒りのスイッチは異なる
人によって怒りのスイッチは異なります。僕自身は「エレベーターで『閉まるボタン』を連打する人」を見ると、「そんなに急いでどこに行くの?」とイラッとしてしまいます。
同じ行動を見ても、「気を使ってくれているのかな」と思う人もいれば、僕のように感じる人もいるのです。
気にならない人にとってはなんてことないのに、気になる人には気になる怒りのスイッチ…アンガーマネジメント用語でいうと「トリガー」をパターン分析し、回避するように工夫していくのです。
妻側だけが把握するのではなく、夫も自覚することがポイント。トリガーを知っておくと、仮にトリガーになるようなことをされたとしても、「あっ、今のは自分のトリガーだ」と意識できます。意識できれば、トリガーがあっても自動的に怒ってしまうということにはなりません。
アンガーマネジメントしていくうえで、自分のトリガーを知ることはとても大切なのです。