人生100年時代、第二の人生をガラリと変える人もいます。結婚、子育て、離婚、病気を経て、昨年からスペインへの単身留学を送っている54歳のRitaさん。SNSでも留学生活の様子を紹介していることで人気です。そんなRitaさんが、スペイン生活で感じた、日本人とスペイン人の美意識の違いについてレポートします。

スペイン
スペインに住んで日々感じる日本との違い
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日本と違う「美意識の違い」

海外に住み始めると、コスメ売場や衣服店で目新しいものを多く見かけ、流行や人気商品も日本とは大きく違いがあることを感じます。スペインでもスペイン人に好まれる色、形、素材が中心となり、また文化や気候も関係して異なる基準ができあがっているのです。そして個人の美意識の違いは何気ない日常会話でも感じられ、予想外に褒められたり、意外な部分を気にしていたり…受け取り方の違いに驚くことがあります。 

「顔が小さくていいね!」は褒め言葉ではない

顔が小さくていいね

みんなで撮った写真を見ながら「顔が小さくていいね!」と現地の友達に伝えると、「小さいってどういうこと?」「いつもと変わらなけど?」「そんなこと言わないで!」と、伝えたい気持ちをまったく理解してもらえなかったことがあります。

後々知ったのですが、じつは顔が小さいことは、「脳が小さい」「頭が悪い」と解釈され、誉め言葉には使わないようです。日本では「小顔メイク」「小顔テクニック」などの言葉も行き交いますが、海外で顔の大きさの話題はタブーかもしれません。

「鼻が高くていいね」も通用しない

絵にかいたような鼻筋の通った人に出会うと、私は思わず「鼻が高くていいね!」と、言ってしまうのですが、「高いって?」「どこのこと?」「鼻はみんなこういう形でしょ?」と、この表現も通じませんでした。

鼻については、日本のように「高い」「低い」という概念がなく、比べる対象としたら「大きい」「小さい」になるようです。逆に、「アジアの人たちの鼻は小さくてかわいい」と言われたことがあります。そして、一部の国では鼻を削る手術が人気とも聞いて驚きました。

「二重まぶた」を意識したことがない

日本では、まぶだが「一重か」「二重か」と美容メディアなどで話題になり、二重まぶたが憧れの対象になることが多いですが、海外ではこの二種類の違いを知らない人が多いようです。まぶたにラインがあるかないか、その肉幅が狭いか浅いか…細かく説明してもチンプンカンプン。その理由は、ほとんどの人が二重まぶたで、そのくぼみ方など意識した人がいないのでしょう。

また日本で言う「目力(めぢから)」という表現も、留学生仲間から初めて聞く言葉だと言われました。日本は「目は口ほどにものを言う」とも言われますし、歌舞伎でも「にらみ」という表現があります。「目」を協調した言葉は、もしかしたら日本独特なのかもしれません。

顔文字

思えば携帯電話のメッセージのやりとりでも、スペインの人たちが使う絵文字の「目」はすべて同じ「点」のまま。ほぼ「口」の表現だけで感情を変化させています(写真左、携帯を右に90度曲げて見ます)。そして日本の人たちが使う絵文字は「目」が幾つもの種類に変化しているのが特徴です(写真右)。