ミラノ・コルティナオリンピックで、日本初となるペア種目の五輪金メダルに輝いた“りくりゅう”こと三浦璃来・木原龍一組。今回は、現地での実況が話題になった高橋成美さんに、その快挙を振り返ってもらいました。

高橋成美さん(写真:本人提供)
高橋成美さん(写真:本人提供)
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この2人でなければ叶わなかった金メダル

――ミラノ五輪では日本のペアの歴史的快挙がありました。三浦璃来・木原龍一組の活躍をどうご覧になりましたか?

高橋:りくりゅうにとって、北京五輪を経て2回目の五輪の舞台。個人戦は、りくりゅうが実力的にショートもフリーも両方1位で完全優勝と思われていたのですが、まさかのショートでのリフトのミスがありました。

木原選手が三浦選手と組んでから、練習でもリフトの失敗は1回も見たことがなく、考えられないことでした。それが出てしまったのはすごく驚きでしたし、これが五輪かとハッとさせられたような場面でした。

だからこそフリーで大逆転勝利、しかもペアの歴代1位の158点以上を出したことがすごいなと思ったのと、要素もひとつひとつ、とくにフリーに関してはどの技も1回も躊躇(ちゅうちょ)する場面がなくて。失敗を恐れている姿勢が4分間の中で一度も見られなかったことがすごいことだなと思いました。

本当に、あのときの演技はうそ偽りなくどこを切り取っても集中していました。集中し続けることは4分間ずっと息を止めているくらい大変なこと。それを成し遂げたというアスリートとしての尊敬もすごくありますし、お互いがお互いのために滑っているというのを感じて、これまでより一層一体感を覚えました。

私が思わず「この2人じゃなきゃダメだった」というような言葉を発したのですが、なぜそれが出てきたか自分でもわからないくらい、あの2人でなければ出せないフリーがミラノのあの瞬間にあって。純粋に、そこは感じたことが口から出てしまうほどペアとしての「りくりゅう」を感じました。

――ペアは相性が大事とはいえ、あそこまでそろえるのは相当の努力が必要ですよね。

高橋:はい。そろえることは時間をかければできることではあるのですが、あそこまで近い距離で、あれほどのスピードを出しながら距離感も大切にしないといけないペアの技を入れるのは本当に難しいことです。

まずは毎日少しずつお互いの距離を縮めていかないといけないですし、少しずつスピードを出していかないといけない。これは本当にコツコツ積み上げていかないといけないことです。ライバルががんばっているからといって、今日から気合入れて近くしよう! とかすると、大ケガにつながる競技なんですね。実際にケガは起こりますし。

だから、距離をつめるときも本当に徐々に確かめながらやっていかないといけないし、スピードを出せば出すほど技自体は大きくなるけど合わせることが難しくなる。タイミングの少しのズレでギャップが生まれてしまいますし、失敗したときのケガのリスクもそれだけ高くなっていくんです。毎日の練習を本当に大切にして、心をひとつにしてやっていかないと、あの距離、あのスピードで合わせにいくことは不可能だと思います。