先日、愛媛・高知を中心に起きた地震。作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんが二拠点生活している愛媛でも大きな揺れが観測されたそう。当時を振り返り、地震への備えについてつづってくれました。
すべての画像を見る(全5枚)夜中に突然起きた大きな地震
「それじゃあおやすみ」と、母に言って二階へ移動し、電気を消してベッドにもぐったとき、スマホの警報がけたたましく鳴った。正直この警報がいちばん怖いよね。
「大きな揺れがきます。気をつけてください!!!」と連呼する。
飛び起きて、廊下を走っていると、ガラス戸がガタガタと音を立て、足元が揺れはじめた。私は階下へと駆け下りた。
一階の扉の向こうでは母の「きゃー」という悲鳴が聞こえた。愛媛ではあまり地震が起きないので、少しの揺れでもかなり動揺してしまうのだ。
「お母さん、大きいかもしれん、外に出よう!」
真っ暗な外に飛び出て、建物のないところでしばらく待った。緊張もあって、体が冷えてくる。4月とはいえ、パジャマだけでは夜間は冷えた。5分くらいして、揺れがおさまってから家に入った。
うちは古い木造家で、家が潰れる可能性があるので、地震があったらとりあえず外に出るようにしている。あたりは田畑なので、建物が崩れてくる心配はない。テレビをつけると、豊後水道を震源として愛媛や高知、大分など広い範囲で地震が発生したと知った。うちのあたりは震度4程度だったけれど、友人らが住む南予は震度が6弱とのこと。
高齢の両親に危機感を持たせる難しさ
「うそー、あれで震度4?」
「いや、体感としてはもうちょっとあったよなあ」
「6だったら、怖すぎて、よう逃げんよなあ…」
私は、東京と愛媛の二拠点生活をしているのだけれど、東京では地震は度々あるので、震度4くらいの揺れは慣れていた。6弱となると、立っていられないほどの揺れ。きっと母はパニックになって転んでしまったりしかねない。警報が鳴って、揺れがくるまで数秒、少しでも揺れがないときに畑に非難させることが大切と思った。
というか、父は? 嘘、気づかずに寝てるん?
父は気づいていたが、もうちょっと大きくなったら逃げようと思い、そのままラジオを聞きながら睡眠を続行したそうだ。地震を舐めとる。
「そういうわけで、お父さんはほっとけばええのよ」
と母は言った。とほほ。
熊本や能登の地震報道から、一階で眠ることのリスクを知った私。「ウチは古い木造の家なんだから、寝る時は絶対に二階でだよ」と口酸っぱく言っていたのに、母はやっぱりいつもの寝室が落ち着くと、一階で寝ている。
震源に近い地域では、街灯が折れたり、お皿が割れたり、瓦屋根が落ちたり、被害も多く出ていた。そろそろ自分ごととして考えてほしいのに、父も母もどこか他人事だ。今回の地震は南海トラフ地震とは無関係だとテレビでは言っているけれど、南海トラフがきたら、間違いなく家は潰れてしまうだろう。人を説得するって難しい。