家にいながら世界の解像度を上げ、子育てをすることで意識をアップデート

また、収録されている「パティオ8」という作品には、ワンオペ・ママ友グループが一致団結して、子どもたちの遊び場を取り戻す様が描かれています。実際、柚木さんのまわりでも、家から一歩も出ないで、友達の困りごとのために探偵みたいなことをしていた人たちがいたのだとか。

スマホを触る女性
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「SNSを駆使したり、それぞれの得意分野を活かし、それを全部LINEで共有して、探偵もびっくりな活躍をしたそうです。私も家から出ずして、いろんな方、年下の子などから相談を受けたり、個人的なお話を聞いたり、世界じゅうのいろいろな職業の人と喋ったおかげで、逆に世界の解像度が上がった気がします。

なんでこんなに外食したいのだろう、外食ってすごいなとか、コロナ禍のおかげで世の中のことが見えてくるようになったかも。たとえば好きな2000年代のカルチャーにしても、『SATC(セックス・アンド・ザ・シティ)』がすごく白人中心社会だったということにも全然気づいていなかったし、本当に世の中のことをちゃんと考えていなかった。

今日本でもどんどん格差が開いていて、なにも悪気がなくても人を踏んでしまっているようなことが多々あります。でも、そう考えるようになったのは、子どもを産んだここ5年くらい。きっと恵まれていたから、すごく差別や格差に無頓着だったんでしょうね。育児をするようになって、初めて自分もこの社会に責任があるという風に実感したのだと思います」