「女性って怖い」と思われたくなくて、小説を書いてきた

これまで数々のヒット作を生み出してきた柚木さん。作家デビューをしたときには、「女性の人間関係の話を書きたかった」といいますが、それを表現するまでにさまざまな葛藤がありました。

柚木麻子さん
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「やっぱり、『女子校の友情はすぐいじめに代わる』といった感じで、『女怖い』みたいな読み方をされていました。その『怖い』みたいなところから、どうにかして逃げるために『ランチのアッコちゃん』を書き、『女同士はいいものだよ』みたいに、とにかく女の人のネガティブキャンペーンならないように、10年間試行錯誤をしていたというのが本当のところです。

女性同士の人間関係を“いいもの”だと思って書いてはいるけれど、じつはそれは私が書きたいことじゃない。うまくいかないときもあるし、すごく仲がよかったのにこじれちゃうときもある。でもそれはだれも悪くない。本当はそういうことが書きたかったんです。

東京オリンピックの開催あたりから、ものすごく日本でジェンダーの話が進みましたよね。今まで女のドロドロみたいに語られていたようなことが突然なくなった気がします。『フェミニズム』って言葉にしても、私がデビューしたころは曖昧な表現が使われていたような気がしますが、今ではメディアで当たり前に使われるようになりました。

柚木さん

おそらく、みんなが普通に生活していても国際的な人権感覚みたいなものがなんとなくわかってきて、『あれ?』って思うことが、みんな増えたんじゃないかな。私の小説も、『シスターフッドですよね』とか『フェミニズムですよね』って、読者の方をはじめとして言っていただけることが、この数年で増えました。だから最近は『自分の創作活動はこれから始まる』って思っています」

いろいろな情報を手軽にキャッチできるようになったからこそ、読み手の“アップデート”がされ、それに自分も学びを得ていると笑顔で教えてくれました。

あいにくあんたのためじゃない

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