私だけが知らなかった…犬のもうひとつの顔

犬
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それから友人がお風呂に入っているあいだ、犬を労わるべく身体をブラシでといていたら「ちょいと疲れたねんけど…」と言わんばかりにコロコロと体重を委ねてきた。

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と思えばお風呂から出てきた友人に反応して、せわしなく飛び起きて土間へ急発進していく。しかし先ほどの面接が生きたのか、厳しい目を向けているものの、落ち着いていた。

犬

「そしたら私もお風呂行きますね。犬とふたりになるのあれやったら部屋行ってください」

「あっもしよければここで犬ちゃんを見ていたいです」

見ていたいんや~と思いながら、犬と友人を部屋に残して去る。このとき、身内で言われていた犬のある説が立証されたのだ。家によく来てくれる親戚がいて、会う頻度に反して犬はまったく慣れず、いつも吠えていた。どうしたもんかと悩んでいたあるとき、親戚から衝撃の発言を聞いた。

「犬は瑞絵がおらんかったらまったく吠えへんデ」と言うのだ。…犬が? うそやろ?

「ほんまやって、瑞絵がおらん日に来たら私が家入っていっても知らん顔して寝とる」

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いーや信じがたい。困惑している私をよそに、父が同意する。父にいたっては共に暮らしているのに、風呂から出てきたら先ほどの友人のように結構な確率で追いかけられるのだ。

「犬はなんか父に懐けへんなぁ」と捉えていたが、そうやって父を追いかけるのもまた私が犬といるときに限るという。

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そんな話も聞いていたので、友人と犬がふたりきりでも大丈夫かと思ったのだ。そしてお風呂にいる間、外からすこしの声も物音も聞こえてこなかった。

それもそのはずである。私がお風呂に入っているときに、友人が撮ってくれた犬の写真がこちらです。

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めっちゃそっぽ向いてるやん。おしり向けて、完っ全に監視を解いている。「瑞絵さんがいなくなったらずっと寝てました」と言われて驚愕した。いやええねんで!? むしろええんねんけど! 知らんかった一面に動揺しているだけ! だってこんなおしり向けて…。

私がお風呂から出てきたときもうつ伏せになっていたものの、まだ身体が友人に向いていたので、いやまさか背中を見せているとは思わなかった。うつらうつらとしながらも、友人や風呂場に顔を向けていたけどなぁ。

犬

重そうにまぶたが落ちてきている犬におやすみなさいと小声で告げて、消灯する。私にとってはかなりレア度の高い貴重な姿を見れてよかった。私ひとりが見れていなかった一面である。