日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。邦子さん(仮名・60歳)の場合、行為がなくなってから、夫との関係にどのような変化があったのでしょうか? 20年を超えるレス生活のリアルな実態を赤裸々に語っていただきました。
すべての画像を見る(全4枚)不倫相手がつくってくれたチャーハンで泣けた
結婚1年目で夫と完全レスに。職場では「鉄の女」と呼ばれ、ネットの世界に出会いを求めた邦子さん。初めこそ深入りしないようにしたといいますが、妻とレスになって悩んでいるAさんという男性の苦労の多い生い立ちを知り、どんどん惹かれてしまいました。
「夫は結婚する40歳手前まで、ずっと実家暮らしだった人。だから、洗濯も掃除も料理もなにもできませんでした。私だってフルタイムで仕事していたのに、新婚時代、なんであんなに一人で家事と仕事の両立をしなきゃ! ってがんばっていたのか…。時々空しくなります」と邦子さん。
「結局、夫にちゃんと愛されたかっただけなんです。なのに、夫は向き合ってはくれなかった。理由もよくわからない。そんなときに出会ったAさんは、夫と真逆のタイプ。子どものころから自立した生活を送っていたので、なんだって一人でできちゃうんです」
ついに邦子さんは夫に「出張がある」と嘘をつき、Aさんと旅行に出かけました。夫は邦子さんへの関心が薄いようで、浮気の気配にまったく気がつく様子もなかったそう。
「私のこと見ていないんですよ。気にもしていない。Aさんとの旅行はすごく楽しかったですね。ホテルに小さいキッチンがついていたんですけれど、Aさんがチャーハンをつくってくれたんです。それがすごくおいしくて。久々にだれかが心を込めてつくってくれたごはんを食べたら泣けてきました」
夫は全然「優良物件」じゃなかった
肉体労働をしていたというAさんは、シフトの休みが出るとすぐに邦子さんへ連絡をくれました。短い時間でも会いに来てくれて、それがたまらなく幸せだったといいます。
「年収とか肩書じゃない。体の相性がいい人と一緒にいるほうが幸せになれます。私の場合、実の父がヒモ体質だったから、『夫は弁護士なのはいいな』『手に職なら仕事に困ることはなさそうだな』って思ってしまって、そこの基準が間違っていたんですよね」と邦子さんは振り返ります。
「本当に必要だったのは立派な肩書ではなく、ちゃんと私を見てくれる人。帰りが遅かったら心配してくれたり、出張から帰ったらお土産を期待してくれるような、そういう人間味がある人がよかった。夫にはそういう人としての温かさみたいな部分が欠落しているんです。仕事はできるのかもしれないけれど、夫としてはかなり微妙。ぜんぜん優良物件じゃなかった…」と苦笑いしながら話す邦子さん。
そしてAさんとはずるすると15年以上関係が続きました。その裏で、レスの夫と結婚生活を続けている理由についても聞いてみました。
「いちばんの理由は、Aさんが奥様を愛しているから。『レスだけれど、嫁が今も大好き』って出会ったときから言われていたんです。Aさんが好きだから向こうの家庭を壊したいとも思いませんでした。この年になると、すてきだなと思う人はみんな家庭をもっている。それが現実でした」