頑固な「昭和一桁世代の父」の元へ3日に一度通う毎日

私はひとりっ子で、わが家は3人家族。18歳で家を出てからは、電車で行ける距離ではありますが、2人暮らしの父母とは離れて暮らしています。母もひとりっ子なこともあり、近くに住む親族も少ない状況です。

昭和一桁の父はその世代らしくとても頑強で、しっかりといまだ自立した生活をしています。しかしそうは言っても足腰は弱くなり、転ぶことを恐れて、外出はほとんど難しくなっています。

母と暮らしていれば買物や食事の世話に心配はありませんが、ひとり暮らしとなるとそうはいきません。

つくり置き
父のためにつくった「つくりおき」料理
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3日に一度は様子を見がてら、つくりおきの料理をしに父の元に通い、毎朝8時には必ず電話で連絡を取り合う約束をしているのです。

その父との連絡がその日、初めて途絶えました。なにしろ毎朝7:59から8:00ちょうどになるその瞬間におもしろいほど正確に連絡がきていただけに、5分連絡がないだけで、なにか血の気が引く悪い予感。

こちらから発信してみるものの、呼び出し音が鳴るだけで応答がありません。まさかとは思いながらも、部屋のどこかで転倒したのではないか、あるいは眠りから覚めていないのではないか…。

考えるのは悪いことばかり。しかもその日私は地方に出張が決まっていたために、様子を見に行くことができません。

父と連絡が取れない!多くの人の力を借りることに

連絡が取れない状態が30分過ぎたところで意を決して、常駐の管理人さんに電話を入れました。「大変申し訳ないのだけれど、確認をお願いできないか」と依頼。とても親切に対応してくださり、インターホンを押してくださいました。ところがやはり応答はなく、いよいよ室内に入っての確認となると、警察の介入がなければ勝手に鍵をあけるわけにはいかないとのこと。

なにやらおおごとになってしまいましたが、仕方ありません。警察の地域課担当の方に事情を説明したところ、素早い判断で安否確認の手続きを取ってくださいました。警察が住居に着いて確認を取るまでの約45分ほどは腰が抜けそうな心地で、スマホを握っていました。

おかげさまで、父は少し熱っぽい体調のせいか時間の感覚が薄れて熟睡していただけの事とわかりました。警察官の方のスマホを通じて聞こえてきた父の元気な声に、ホッとすると同時に周りの方々になんとお礼を言えばよいものか感謝が言葉になりません。

高齢親との向き合い方に介護…さまざまな問題に直面

父と娘
94歳になった父

翌日出張から戻り父の元へ行くと、いつもと変わらぬ元気な様子で、「孤独死と間違えられてしまったな…」などと苦笑いしていました。

母の入院をきっかけに、高齢の親をもつ、ひとりっ子の現実的な問題点が次々と露わになってきました。近々には要介護認定の審査も立ち合います。

しっかりとしてはいる父ではありますが、介助を必要としたい場面も数々とあります。審査となるときっと「大丈夫です。自分ですべてできます」と半ば見栄を張ってしまいそうな父の姿が今から目に見えるようです。

◆川上麻衣子さん出演情報

「ウチ、“断捨離”しました! 女優・川上麻衣子の実家じまい 両親の人生をかみしめて」
3月5日(火)夜9時~夜9時54分
BS朝日 全国無料放送
※放送終了後1週間TVerなどで見逃し配信
番組公式サイト:https://www.bs-asahi.co.jp/danshari/

 

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