ひとりだって孤独だって「大丈夫、心配いらない」

図書館主宰の「友の会」では、参加者が自分のキャリアや経験をもとに 講演会をすることも。「先日は長年 新聞記者だった、っていう人が国際 情勢のセミナーをやってくれました。 なかなかおもしろいですよ」
図書館主宰の「友の会」では、参加者が自分のキャリアや経験をもとに講演会をすることも。「先日は長年新聞記者だった、っていう人が国際情勢のセミナーをやってくれました。なかなかおもしろいですよ」
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作品には、孤独死した高齢男性が、死後1か月もたってから発見されるエピソードが出てきます。主人公(齋藤さん自身がモデル)が亡くなった方を見に行くシーンがありますが「実際に見に行ったんですよ」と齋藤さんは笑います。

「長い間、新聞でイラストルポの仕事をしていたせいなのか、漫画家のサガなのか。変わったことがあると『あ、これはネタになる!』って思っちゃう。不思議と怖いという気持ちはありませんでしたね」

齋藤さん自身の脳梗塞の経験を描いたエピソード「蝶が 飛んだ日」より。「死んでも悲しむ人もいないし…」と言 う主人公に団地の友人が「あなたが戻ってきてくれて、 本当によかった」と語りかけます
齋藤さん自身の脳梗塞の経験を描いたエピソード「蝶が 飛んだ日」より。「死んでも悲しむ人もいないし…」と言う主人公に団地の友人が「あなたが戻ってきてくれて、本当によかった」と語りかけます

高齢者ばかりの団地では、いつもだれかが病院に運ばれたり亡くなったり。でも、「それが当たり前じゃないですか?」と齋藤さんは言います。

「そういうことがあって初めて『え? あの人、そんな大会社の偉い人だったの?』なんてわかったりする。元気な間はお互いの事情には踏み込まないですからね。それでいて、お互い気にかけ合っているから、姿を見かけなくなると心配したりして。ちょうどいい距離感なんだと思います」

脳梗塞からのリハビリに、友人と散歩に出る主人公。遠くに「わ が家」=団地を見つけます。「それでもこうやって、生きていく。 狭くても古くても、居心地のいいわが家なんです」(齋藤さん)
脳梗塞からのリハビリに、友人と散歩に出る主人公。遠くに「わが家」=団地を見つけます。「それでもこうやって、生きていく。狭くても古くても、居心地のいいわが家なんです」(齋藤さん)

団地で孤独死だなんて恐ろしい! 『ぼっち死の館』は、むしろそんな先入観を逆手に取った作品なのです。

「だれだって見栄をはるし、生活は大変。孤独は気ままだけど、寂しくもある。でも、それを嘆いてたってしょうがないでしょ。似た者同士が肩寄せ合って暮らす団地で、お互いに辛辣なあだ名をつけ合ったりして、精いっぱい楽しく暮らす。大丈夫、つらいときや困ったとき、素直にそれを伝えられたら、助けてくれる人がきっと現れるはずですから」

発売中の『団地で見つけた身軽で豊かな暮らし方』では、齋藤さんの住まいや暮らしの工夫も紹介しています。団地暮らしの実例のほか、コンパクトな住まいにフィットする、無印良品やイケアなど人気ブランドの収納名品カタログも。

団地で見つけた身軽で豊かな暮らし方 (別冊エッセ)

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