いくつになっても切り離せないお金の不安。知恵を働かせて、お金をかけずに、豊かな日々を過ごせたらいいですよね。第5回「ミス日本」でグランプリを受賞した伊藤千桃さん(72歳)は、現在葉山で娘、孫と3人暮らし。重労働だという母屋と民泊として活用している離れの管理を、お金をかけずにできるだけ自分でしている背景を教えてもらいました。

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ラクではない家の管理は知恵を絞る楽しみがあります

伊藤さん
伊藤千桃さん
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「与えられた環境を生かして暮らす、今のスタイルが私には合ってるんですよね」と話す伊藤千桃さん。

現在の住まいは、亡くなった育ての母(養母)が残してくれたもの。民泊として活用している離れは築100年以上の古民家で、母屋も築40年が経っています。

「修繕費はかかるし、維持するだけで大変。いちばんお金がかかるのが家ですが、たくさんの恵みをもたらしてくれるのも家なんです」

愛らしいブルーの洋館が母屋。2階のテラスからは湘南の海や江の島、富士山も一望できます。この景色を見ているだけで「ああ、この環境はありがたいな、と思えるの」

伊藤さんが暮らす家は、愛らしいブルーの洋館が母屋。2階のテラスからは湘南の海や江の島、富士山も一望できます。この景色を見ているだけで「ああ、この環境はありがたいな、と思えるの」

●「贅を尽くす」よりも「丹精を込める」ほうが自分らしくいられる

養女として引き取られたのち、家業が傾いたり、離婚してシングルマザーになったり。波乱の人生ですが「お金がなかったからこそ、生活力が身について今がある」と言います。

「育ての親が必死にやりくりして乗り越える姿を見てきましたから、“私が働けばいい”、“なんとかなる(する)”と思えたのかも」

娘の愛犬・ジゲンくんはフレンチブルドッグの男の子。やんちゃ盛りで、少しもじっとしていません。「なんでもかじろうとするから、床にものが置けなくて。片づいてかえっていいのかも(笑)」
娘の愛犬・ジゲンくんはフレンチブルドッグの男の子。やんちゃ盛りで、少しもじっとしていません。「なんでもかじろうとするから、床にものが置けなくて。片づいてかえっていいのかも(笑)」

今は母屋で、娘と孫と、3世代3人暮らしです。

「自己流でやってきたケータリングサービスには娘が加わってパワーアップ。今は彼女が主体です。彼女が大学で学んだ経営の基礎に照らしてみると、私のやり方は“なってない”みたい(笑)。彼女が加わったおかげで、ようやく商売として安定してきたし、若いアイデアもいろいろあるので楽しいです」

大変だからこそおもしろいのよ、と笑う伊藤さんの笑顔はどこまでも自然体です。

お金がかかるのは家。お金を生むのも家

今ある環境のおかげで暮らせている。そう考えれば、庭や住まいを大切にするのは当然のこと。

築100年の離れ

「できるだけ人に頼まず、自分で調べ、学び、できることはなんでもする。その経験が、生活力を磨いてくれるのだと思います」

まつぼっくり

母屋にある薪ストーブの焚きつけには、拾い集めた松ぼっくりが欠かせません。「リスの食べ残しの上前をはねて(笑)。油分があるのでよく燃えるんです」