<2:『枕草子』に定子のキラキラ部分しか描かれていないことに納得していない説>

女性
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彰子の出産前、道長が物の怪におびえていたのを目の当たりにしていた紫式部は、道長が亡き定子に恨まれてもおかしくないほどの圧力をかけていたのを知っていたはずです。

それなのに『枕草子』に書かれているのは、後宮の明るく楽しかった思い出ばかり。定子の苦境について触れず、すてきなことしか書かないのは、上っ面ばかりで物書きとして不誠実だと思っていたのかもしれません。

<3:彰子の後宮が定子の後宮と比べられてつまらないと貴族たちに言われていたので対抗意識を燃やしていた説>

定子が存命の頃、明るくて機転の利く清少納言は男性貴族に大人気だったようです。軽口を言い合える男友達がたくさんいた様子が、『枕草子』からもうかがえます。嫌われないように「一」も書けないアホのふりをしていた紫式部からすれば、知性をひけらかしても嫌われない清少納言が「ずるい」存在に映っていた可能性があります。

<4:シンプルに清少納言のアンチ説>

イケメン貴族たちに言い寄られた話を役職名つきで書き、いろいろな人をコケにしていた清少納言。現代で言えば、SNSでキラキラ生活とプレゼントのブランド品をチラ見せしながら下々を煽るインフルエンサーのようなものでしょうか。アンチがつくのも仕方がないのかもしれません。

11月8日発売の堀越さんの著書「紫式部は今日も憂鬱 令和言葉で読む『紫式部日記』」(扶桑社刊)では、『紫式部日記』の原文を30代OL風の言葉で分かりやすく訳し、かわいらしい猫のキャラクターが平安文化を解説。きらびやかな世界を楽しみながら、現代の私たちにも身近な感覚を持つ紫式部の、おもしろい内面を覗き見られます。次のページからの試し読みもぜひ読んでみてくださいね。

紫式部は今日も憂鬱 令和言葉で読む『紫式部日記』

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