●施設を勧めると、母からの思いがけない言葉が…

Mimiさん
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「寝たきりになるのは絶対にいや!」とウォーキングを欠かさないほど元気だった母も、80歳を過ぎた頃から体力の衰えが顕著になっていきました。私の仕事も忙しくて、少しずつデイケアやショートステイを利用する頻度が増えていきました。

今後のことを考えても、施設のほうが質のよい介護が受けられるのでは? と、母に相談すると

「まだ元気なのに、そんな必要ない!」「私を追い出したいの!?」

そのまま話を続けたらケンカになるだけ。もうその話題を続ける気力もなくなり、ついそこでやめてしまっていました。ケンカになってもいいからもっと踏み込んだ話をすればよかったと、今になって思います。

母自身、自分の両親も(母の兄の家族が面倒をみていた)夫の両親も(早くに亡くなっていた)介護をした経験はありません。この先どうしたいのかと相談されても、そもそも先のことを想像すらできなかったのかもしれません。その点で私は、母の日々の変化を見せてもらえた分、自分の今後について予習できたと感じています。

とはいえ、老いは確実にやってきます。トイレやおむつの世話も始まり、夜中に起こされることも増えていきました。さすがの母も90代を迎える頃には「あんたが好きに決めたらいいわ」と言うように。

たまたま母が、体調を崩して入院。病院と自宅の中継ぎとして、リハビリを中心におこなう老人向け施設に入所…というタイミングでコロナ禍に突入しました。医療施設や介護施設は面会禁止となり、家族であっても面会はかないません。私の勤めていたカフェも休業となり、自宅で過ごすことが多くなりました。

●母を家に戻すべき?施設に頼るべき?

お店の休業は、最初こそ立ち仕事から解放されてうれしく思ったほどでしたが、母には会えないし、自由に外出できるわけでもない。さみしさが募り「母を家に連れ帰った方がいいんじゃないか」と考えるようになりました。今なら時間がある。母だってさみしがっているでしょう。

しかしここは、より現実的に考えねばなりません。私の手持ちのお金と母の年金で家で介護できる体制を整えられるだろうか。母と言い合いしていた頃に比べて要介護度は各段に上がっています。仕事は辞めざるを得ないでしょう。そうなると、介護には専念できても収入は激減。のちのち、母のことを恨んでしまうかも…。

考えた末、母の帰宅作戦は断念することにしました。自分のことしか考えてなかった気もしますが、この判断は間違っていなかったと思っています。