●完全に家事を休めるのはひとり旅だけだと気づいた
――ひとり旅をされてみて、いかがでしたか?
すべての画像を見る(全4枚)山脇:女友達や家族と行っても、我慢や調整をしてしまう部分っていろいろとあると思うんですよね。でもひとり旅だと、自分の好きなところに何時間いてもいいわけだし、決めるのは自分、120%自分の時間です。この前も、ひとりで大阪の中之島美術館に4時間いましたけれど、これがだれかと一緒に行ったら申し訳ないなと思うでしょうし、「ここに4時間とかありえない~」なんて言われるかもしれない。でもひとりならそれがない、ちょっといいじゃない? と思って。
やっぱり女性って、周りを優先しがちだったりもしますから。私も休みでも家にいるとなんかしちゃうんですよね。たとえば、ごはんをつくったり、シーツを替えたり、ちょこちょこ家事をしたり、あるいは仕事をしてしまったり。だから100%は休めていない。
100%休むには、私の場合、ひとり旅かな~と。旅でも、家族と行くとなにか家事的なことをしてしまうから、ひとりで旅に出るとまるっと休みというか、私がしたいことだけしていたらいいでしょう? シーツも替えてくれるし(笑)。完璧に休むという意味でも、ひとり旅はいいなーと思います。完璧に休めますからね。
――たしかにひとり旅だと気も使わずに、家事からも解放されて完璧に休めますよね。
山脇:最初は、「私だけ遊びに行って悪いな」とか、うしろめたさがあったんです。都会でバリバリ働いていて出張もこなす女性はそうでもないかもしれませんけれど、私は長崎出身なので、地元の友達と話すと「ひとり旅なんてありえなくない?」って感じで。家族を置いては行けないものだとずっと思い続けて何十年も過ごしてきました。
そうしているうちに早50歳。病気になる友達や、介護で動きにくくなる友達の話も聞いて、今やらないと明日はわからないなと思うようになって。晩節も短いかもしれないから、「ちょっと行ってきまーす」が、言いやすくなった気がします。今回の本にご感想をいただくと、子どもも手が離れたから行けるかも! という声もあるので、自分のことをあと回しにするのやめようって思える時期なのかもしれないですよね。
それと、何度かひとり旅をしていて学んだのですが、カレーとかシチューをつくっていくと案外大丈夫でした(笑)。むしろ、家族も私が機嫌よくしてくれてるのがいちばん大事みたいです。
●ひとり旅をすることで、人に優しくなれた
―ーひとり旅をされるようになって、自分のなかでのなにか変化はありましたか?
山脇:感謝の気持ちもあるので、帰ってきたら「ごめん、ごめん」みたいな感じで夫に優しくできたり、帰宅後2日間くらいはかなり上機嫌でいられます(笑)。
ひとりでいる時間には、おいしいものを食べたら「これ、夫に食べさせたいな」とか、「母に食べさせたかったなとか」とか思って、自分にとって大切な人がクリアにわかります。なにを優先すべきかとか、なにが気になっていたかとか。気持ちの整理もできます。仕事ばっかりしないで家族と一緒にいる時間を増やそう、と思ったり。
ひとり旅には日々のことからちょっと離れて、自分自身や家族とのいろんな関係性を改めて見ることができる感じがします。