冬はなにかと体調を崩しやすい季節。
なかなか治らない風邪、のどの違和感、鼻水や鼻づまり、頭痛、不眠、肩こりや首こりなどを感じている人も多いのではないでしょうか。
「これらの不調の原因は、患部そのものだけではなく、鼻の奥にある“上咽頭”で炎症が起こっている可能性があります」と話すのは、“慢性上咽頭炎”に詳しい医師の堀田修さん。詳しく伺いました。
風邪、のどの違和感、鼻水、頭痛など…症状が長引いたら、慢性上咽頭炎に注意!
「鼻の奥にある上咽頭は、吸い込んだ空気のなかにあるほこりやダニ、細菌やウイルスとの最初の接触地点であり、ここで起こってしまう炎症を“上咽頭炎”と言います。この炎症が慢性化し、慢性上咽頭炎になると、抗生剤や抗菌剤ではなかなか治らなくなるだけでなく、上咽頭とは離れた場所に別の病気を引き起こす原因に」と、堀田さん。
上咽頭炎で炎症が起こっていると、冬になると大流行するインフルエンザウイルスが侵入してきた際に、感染しやすくなるおそれも。
「また、アレルギー反応も引き起こしやすくなってしまいます。これから訪れる花粉症シーズンに向けて、花粉症の症状を軽くするためにも、日常的なセルフケアが重要になります」
堀田さんによると、ちょっとしたセルフケアで、上咽頭の炎症を予防、改善させることが可能だそう。取り入れやすい2つの方法を教えてもらいました。
●首に湯たんぽをあてる
すべての画像を見る(全2枚)【効果】
首の後ろを湯たんぽで温めると、のど周辺の血流が整い、上咽頭炎のうっ血が解消します。
※低温やけどにご注意ください
●寝るときに口テープをはる
【効果】
口呼吸が習慣になると、口の中の乾きや冷えなど体に悪影響が。口呼吸を予防するため、就寝時に口にテープをはることで、鼻呼吸を促します。
※鼻づまりなど鼻通りが悪いときは控えましょう
全国の医療機関で行える上咽頭擦過療法(EAT、Bスポット療法)
セルフケアでは間に合わないという場合は、医師の治療を受けることも検討してみましょう。
慢性上咽頭炎に処方できる薬はなく、治療法として推奨されているのが、医師によって行われる「上咽頭擦過療法(EAT、Bスポット療法)」と呼ばれるもの。
「0.5~1%の塩化亜鉛の溶液をしみ込ませた鼻綿棒を鼻から、次に“咽頭捲綿子”という医療用器具をのどから直接入れて、上咽頭をこするという治療法です。しっかりこすりつけるようにぬるので、上咽頭炎で炎症が起こっている場合、強い痛みがあり、綿棒に血がべっとりとつくことも。とはいえ、治療後は驚くほどの効果があることもわかっています」
実際に上咽頭擦過療法を受けて、「頭痛が消えた」「花粉症が軽くなった」「肩こりがなくなった」といった報告も多数あるといいます。
堀田さんの新刊
(扶桑社)では、上咽頭擦過療法を受けられる全国の医療機関の連絡先が紹介されているほか、セルフケアの方法や、気をつけるべき天候などを詳しく解説しています。
ぜひ、日頃から上咽頭を健康に保ちましょう。