不動産購入する人のほとんどが経験する住宅ローン審査。「自営業者は通りにくい」というよく知られた話以外にも、「年収は高くても貯金がないから」という意外な理由で、審査が通らない場合があります。スムーズに住宅ローンを借りるために気をつけておきたいポイントや、万が一通らなかった場合にとるべき対応も合わせて紹介。教えてくれたのは、マンションリノベーションのコーディネートを行う会社「EcoDeco」で、不動産売買の業務に携わる、宅地建物取引士の天井理絵さんです。
すべての画像を見る(全11枚)住宅ローンの審査基準とは?
住宅ローンの審査が通らなかった場合、その理由を金融機関の担当者にたずねて教えてもらえるケースと、もらえないケースがあります。
教えてもらえるのは、これからお伝えする一般的な審査基準にひっかかった場合がほとんど。一般的な審査落ちの理由を5つご紹介します。
1.勤続年数が1年未満
一部のネット系金融機関を除いて、就職&転職してからの勤続年数は1年以上という条件を設けている場合が多いです(ただし、同業他社へのキャリアアップであることの証明をすることで審査をクリアした方もいるので、絶対にNGというわけではありません)。
2.借り入れが残っている(奨学金もご注意!)
クルマのローンやカードローンなど、住宅ローン以外の借り入れがあることで返済比率が高くなりすぎて、ローンが通らない場合があります。返済比率は、年収に占める年間返済額の比率のことなのですが、金融機関の多くは30%〜40%を目安にしています。
年間返済額÷年収×100=返済比率
ですので、「年収600万円の場合の返済比率40%=年間240万円までに収めましょう」ということになります(実際は、より少なく抑えて、余裕のある返済計画を組むように、筆者は実務でおすすめしています)。
「自分には借り入れがない」と思い込んでいた方のなかにも、じつは奨学金や携帯電話の割賦販売の支払いがネックになっていたという事例も耳にします。身に覚えのある方は、不動産購入の前段階で完済するか、不動産担当者や金融機関、FPに相談しましょう。
3.過去に借り入れの返済を遅延したことがある
過去に借り入れの返済を繰り返し遅延した方、5年以内に債務整理を行っている方は、信用情報に記録が残っています。そのため、住宅ローンの借り入れは難しいです。
やはり金融機関としては、毎月計画的に返済をしてくれる方なのかどうかを判断するので、これは当然。ちなみに、自身の信用情報に気がかりなことがある場合は、信用情報機関から信用情報を取り寄せることができます。
信用調査機関は以下のように3つあり、ご自身の借り入れ先の金融機関に合わせて調べることができます。いずれも有料ではありますが、1000円ほどで開示してもらえます。
・CIC:おもにクレジットカード会社や消費者金融で登録された情報
・JICC:消費者金融や銀行(地銀)など幅広い金融機関で登録された情報
・JBA(全国銀行協会):銀行で登録された情報
4.収入が不安定
住宅ローンを借り入れるとき、公務員や大手企業の会社員の方が借り入れしやすいと言われています。これは、安定収入があることが理由です。一方で、収入額が多くても、フリーランスの方や、会社の代表の方は借り入れ可能額が低かったり、そもそも通りにくかったりします。
5.年齢が高い
住宅ローンは80歳までに完済する必要があります。返済計画上で完済年齢が80歳以下になるよう、金融機関あるいは不動産担当者と相談しながら進めましょう。