「この地域から出て行け」夫側の親族からの非難

田舎なので、私が子どもを連れて夫と別居を始めたというのはすぐに近隣に住む親族の耳にも入ってしまいました。

電話
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すると「離婚するなら、もっと遠くへ行って。うちの一族の人間が離婚してバツイチになるなんて世間体が悪い。こんな近所に住むな。この地域から出ていけ」という趣旨の電話が何本もかかってくる始末。

本当は子どもたちの学校を転校させたくなかったのですが、さすがの勢いに私も根負けし、結局2つ隣の駅の別の市へと移り住むことになりました。
夫側の親族からの非難はすさまじいものでしたが、義母だけは「孫たちのことはこれからも遠慮なく頼ってね。朋美さんはお仕事してるんだから」と、優しく接してくれました。

子どもたちが健康に大きく成長してくれたのは、義母が毎日食べさせてくれていた手料理のおかげでもあります。私ひとりではとてもできなかったことなので、すごく感謝をしていたのですが、私たちが引っ越しした直後に体調を崩して急逝されてしまいました。

最後にお礼の挨拶にも行けなかったことは今でも申し訳なく思っています。

●離婚してから分かった、親の優しさ

父親

そして離婚が成立した直後、私の実の父もまた、突然の病であっという間になくなってしまいました。

私の父はかなり前から夫のことをよく思っておらず、「子どもが4人もいて、別れたくても別れられずにいるんじゃなかろうか」と周囲の人にこぼすほど、ずっと私のことを心配していたのだそう。私に直接言ってくることはなかったので、なにも知りませんでした。
私が離婚したと報告したとき、「よかった。ホッとしたよ」と静かに喜んでくれた笑顔は今でも鮮明に思い出せます。

●「もうお前たちの家じゃないから」と、子どもたちから鍵を取り上げた夫

引っ越しのときに、自分たちの部屋の荷物を一気に持ち運べなかった子どもたちは、それから何か月か時間をかけて、少しずつ運び出していました。
父親である元夫と顔を合わせることもあったようなのですが、子どもたちの暮らしぶりを心配するどころか、ある日「もうお前たちの家じゃないから鍵を返せ」と言われ、家の鍵を没収されてしまったのだそう。

●今になって思えば弁護士を立てればよかった

夫の言い分は「自分は不貞行為をしたわけでも、借金をつくったわけでも、暴力を奮ったわけでもない。お前たちが勝手に出て行ったから離婚するんだ」というものでした。なので、慰謝料も養育費も一切支払われていません。

私も、早く夫と離婚して生活を別にしたいという思いが強く、勢いで離婚届を書いてしまいました。けれど今になって思えば、子どもたちのためにこそ、弁護士を立ててお金の確保をすればよかったなと思っています。

キャンプ

実際、私の稼ぎだけで男の子たち4人を育てるのはとても大変。食卓に並ぶのはいつも安売りで買った鶏肉料理ばかり。

それでも学生時代のヨット仲間たちがいつも助けてくれて、「お肉焼くからおいで」と家に呼んで牛肉を食べさせてくれたり、連休には「みんなでキャンプに行こう」と家族ぐるみで旅行に連れ出してくれたりします。

●レス夫と離婚してよかったこと

野球

現在、大学生になった長男は推薦をもらって進学することができました。次男も夢だった甲子園に出場。下の二人もそんな兄たちの背中を追いかけながら、それぞれ好きなスポーツに思いっきりのめり込んで大きく成長しています。
きっとあのまま夫の言うことを聞いて子どもたちから野球を取り上げてしまっていたら、今のような未来はなかったと思うので、離婚したことは一ミリも後悔していません。私自身も心が軽くなって、仕事も以前より生き生きとがんばれるようになりました。

当時の私は、もしかしたら心の病気になりかかっていたんじゃないかなと感じることもあるほど…。いろいろあったけれど、“仕事を辞めなかった”、これが私にとって大きな武器になったと思っています。

朋美さんの場合は今回で完結です。レスがひとつのきっかけとなって離婚した朋美さん。結局は幸せになったと取材の際に教えてくれました。

◆次回のお話はこちら!

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