「発達障害」という言葉が広く知られるようになり、最近は大人の問題としても語られるように。近年の社会状況から、診断を受ける人が増えています。

もしも、パートナーが発達障害かもしれないと思ったら…? 今回、夫が5年前に発達障害と診断されたソラ子さんにお話を伺い、「妻としてできること」を発達障害の問題に詳しい医師の宮尾益知さんに教えてもらいました。

もしかして夫が発達障害?そのとき妻ができること

【相談】夫がASDと診断され、妻として覚悟が決まりました

【夫がASD ソラ子さん(42歳)の場合】

夫(39歳)と結婚して10年。5年前に夫が「自閉症スペクトラム障害(ASD)」と診断された。ブログ「大きな声では言えませんが」でその生活ぶりを発信中。
ASDは「社会的なやりとりの障害」「コミュニケーションの障害」「こだわり行動」という3つの特性があります。なかでも知的な遅れや言葉の遅れがない人は、“アスペルガー症候群”と呼ばれる場合もあります。

イラスト夫婦
発達障害と診断された夫を支えていきたいと決めたソラ子さん
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ソラ子さんは、結婚前から夫の言動に違和感をもっていたそう。
「たとえば電話でのやりとり。『今、大丈夫?』と聞いてくれるのはいいのですが、私が『ご飯を食べてるところだよ』と答えても、そのまま気にせず、話し続けてしまうんです。普通なら“そうか、今はダメなんだな”と理解するところですよね」

もしかして彼はASD? そう思ったのは、保育士をしていた母親から指摘があったから。

「本を読んでみると、確かに当てはまる。あるとき思いきって本人に指摘したところ、夫自身も自分が人と違うと感じていたようで素直に受け止めてくれました」

診断を受けたのは、夫が転勤でストレスを抱えたことをきっかけに二次障害を発症し、抑鬱状態に陥ってしまったから。はっきりと診断名がついたことでソラ子さんも覚悟が決まりました。

「夫のよいところは裏表がなく素直なところ。親せきみんなの前で『このなかでいちばん頭がいいのは俺だな』などと周囲が固まるようなことを言ってしまう反面、思ったことはすぐに口に出すので愛情表現が豊か。私を大事にしようという気持ちが伝わってきます。そんな夫のよいところを認めながら、がんばりすぎず支えていきたいと思っています」

【専門家のアドバイス】完璧じゃなくていい!ありのままの自分でいて

イラスト「特性を知って、ありのままの人生を歩もう」

人生で長いつき合いとなる発達障害。気持ちのうえで、上手に向き合う方法はあるのでしょうか?

「あまりがんばりすぎないことが大切です。あなたが“できない”と感じていることは、障害のためかもしれません。かといって、障害がない人が完璧なわけでもない。だからたとえば、『人間関係を良好にしなければ』などと、必死になる必要などないのです」

友達なんて少なくていい、と気持ちを切り替えるのもあり。

「人間は、だれもが不完全な存在です。ありのままの自分を認めて気楽に人生を歩む、くらいの気持ちで生活しましょう」