●パートナーとの間で大切にしているのは、なんでも話すこと

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――また猫沢さんにとって移住は、長年おつき合いされてきたパートナーとの同居生活のスタートにもなりました。彼と共に暮らすうえで心がけていることは?

猫沢:そうですね。私たちの場合、約16年間、国をまたいだ超遠距離交際をして同居という、珍しいケースだと思います。恐らく近い将来には結婚するかもしれません。先のことはだれにもわからないけれど(笑)。

彼との間で意識しているのは、なんでも話すことです。私たち日本人って、相手に不満をため込むのは上手でも、それを伝えて改善することは少し苦手ですよね。もちろん、私もそう(笑)。

私が彼にイラっとしたときは、そのことを具体的かつさらっと伝えるようにしています。この“さらっと伝える”って、すごく大事だと思っていて。『私、これが苦手なんだ。やめて欲しいな』って、スーパーの安売りの話題と同じぐらいのテンションで言えるようになったらベスト。

これが相手への不満をため込みすぎてしまうと、言うほうも聞くほうも重たくなってしんどい状況に…。ため込まず、その上で『私は彼のなににムッとしたんだろう?』と振り返ることもしていますね。そうすると大体が、彼自身のことよりも、自分の過去の心の傷や、乗り越えられない問題があることに気づいたりする場合も多いんです。

●愛するとはリスペクト。彼との関係にも前提には尊重があります

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――それから、私たち日本人がパートナーに対してついやってしまいがちな点についても教えてくれた猫沢さん。

猫沢:自分の理想のパートナー像に、相手を無理矢理引きつけようとして、イライラするパターンも多いかもしれないですよね。相手を自分の思い通りにしたい、その通りになってくれない、という思いは、その人に対してのリスペクトが欠けているかもしれません。フランスは個人主義ですから、どんなに親しい関係でも、その人の持つ『個』の部分は尊重するし、個に踏み込む場合にはとても慎重になります。

私は愛とは『相手をよく見ること』だと思っていて。いつでも彼の些細な部分を尊重し、見守るようにしています。その上でお互いが、感じていることを伝え合いながら、全く別の人格の人間同士が整っていく――。これが大人らしいパートナーシップのつくり方なのかなって。

と言いながら、もちろん、彼とケンカをすることもありますよ。そんなときは息抜きをしに近所の公園へ。カーっとなっている私のそばで、池から黒鳥が姿を現し、落ち着くまでひたすら側にいてくれてたりして。なんだかパリは、すべてが自然と調和して、ナチュラルに生きられる都市だなと思います。

――後編は、猫沢さんが感じる愛や幸せ、そして生きることについて、さらに具体的なお話をいただきました!(3月12日公開予定)

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