作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセイ。今回は、テレビを今後、持つか持たざるかについてつづってくれました。
第91回「テレビ、持つ?持たない?」
すべての画像を見る(全3枚)先日、テレビが映らなくなった。一年ほど前から、ときどき止まったりしていたので、地デジになったから(一体何年前の話だ…)こういうこともあるんだな。なんて思っていたら、ついに何も映らなくなった。13年くらい使ったので寿命だろう。
●テレビは本当に必要?
買い換えるのか? ということである。あまり観ないので、なくしてしまったというのも最近まわりで聞くようになった。本当に観たいものはネット配信で観ることだってできるということらしい。
私も、ミュージックステーションとか音楽番組を観るくらいで、殆どテレビを観なくなってしまった。二拠点生活をするようになって、単純に時間がなくなったというのが大きいかなあ。農作業をする愛媛での時間が50、東京で執筆をする時間が50と、今まで100あった時間を半分ずつにせざるを得なくなった。へとへとで東京に帰ってくると、一ヶ月前で止まったままの東京の自分を動かす。連載などは愛媛でも書けるが、大きな仕事に向き合うには東京に帰ってきてからでないと落ち着いてはできない。
そんな中で、夫と過ごす時間も大切にしたいし、友人との時間、庭のお手入れ、仕事、美術館へも行きたい、本も読みたい…あっという間にまた一ヶ月が過ぎて、愛媛へ戻ることになる。テレビを観て、ゆったり過ごすことも大切だと思うのだけれど、優先順位をつけていくとどうしてもその時間がとれないのだった。
●テレビやラジオもいい部分がたくさんある
とはいえ、地震があったときや、ネットの電波がとぎれてしまったときは、テレビとラジオをすぐつける。一番はラジオだけれど、映像で各地の現場の様子が観られるテレビもやっぱり残しておいた方がいいのではと思う。
友人も同じようなことで悩んでいて、引っ越しのタイミングでテレビを持たない生活に切り替えようかと思っているとのことだった。場所もとるし、ネットとラジオをうまく活用できるのならそれでもいいのかもしれないよねえと話した。でも、災害の多い時代だし、もしもの時のためにラジオだけでなくテレビも置いていた方が安心だよねと、お互いに残しておくことにしたのだった。
それに、私はエンターテイメントに関わるお仕事もしているので、例えば作詞したアーティストがテレビで歌うとか、アニメのエンディングになったよと聞くとすぐに観られる態勢にしておきたいなというのもある。
これはテレビの良い点であり、気をつけないといけないところでもあるんだけれど、目当ての人を観ようと番組をつけると、他のアーティストも一緒に観ることができる。ダラダラとながら観を続けているとあっという間に2時間経っていて、しまったとなることも多い。一方では、最近はこういう子が出てきたんだなとか、この曲かっこいいなとか、このお笑い芸人さん面白いなと、自分の興味が他にも広がっていく良さがある。そしてネットよりもお金をかけて番組制作されていることが多いので、良いドキュメンタリー番組もたくさんある。
一時的な娯楽というだけではなく、人生を変えられるような出会いの場の一つでもあるのだ。そういった本質的な番組をこれからも観たいし、作っていってもらいたいなと思う。
ということで、新しいものを買おうと思っていたら…テレビがついた。気まぐれやなあ。もうしばらくは、このままでいきます。
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