●映像に夢中な2人の後ろに現れたのは…

そのとき、ふたりはうしろに気配を感じた。なにかがいる。ひょっとしてキングコングの幽霊? ふたりは顔を見合わせ、黙ってうなずいた。ゆっくりと後ろを振り向く。そこには、金属製の四足歩行のロボットが立っていた。

サイバー野良犬だ。

ここ数年でペットのAI化が進み、完全なサイバー犬が誕生した。しかし、ペットとして購入したサイバー犬を遺棄するケースも同時に増えた。野良犬となったサイバー犬はエネルギーが尽きるまで活動をつづける。だけど、エネルギーが減ると勝手に電源を探しだして充電をするので、かれらはいつまでも活動をつづけてしまう。通常の犬よりもすばやくそしてパワーも強いので、これが大きな社会問題になっていた。

いま、サイバー野良犬がサトシたちを威嚇している。すぐにでも飛びかかってきそうだ。
サトシはさっき見た映像を思い出していた。マルベリーさんがキングコングをマッサージグッズで殴り倒した映像を。

サトシはキングコングの墓に手をかけた。そして、力を振り絞って地面から墓を引き抜くと、それとサイバー野良犬に振り落とした。鈍い打撃音と同時に崩れ落ち、そして動かなくなる。

サトシは安心すると同時に、怖くなった。腕の力が抜けて、墓石を落とした。墓石が地面に落ちた音で、サトシははっと我に返る。

「おい、逃げよう!」
「うん!」

サトシとカケルは一気に駆け出した。うしろを振り返らずに。

ふたりの背中を見つめながら、サイバー野良犬はうめき声をあげた。そして、なんとか身体を立ち上がらせると、目を真っ赤に光らせた。

【編集部より】

えっと、いずれ役に立つときがくるってことでしょうか? キングコングを倒せるマッサージグッズって、そうとう大きくないですか。マッサージに使うときも危なそうです。自分も倒されませんか!?

なにかを買うときは、用途のシミュレーションをよくしてから購入するのがいいと思います。

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