冬暖かく、夏は蔵に入ったようにひんやり!
すべての画像を見る(全30枚)「うちの薪ストーブの使い方は独特で、できるだけ空気を絞って温度も上げずに使います。薪はおき火状態になるので調理に使うのにもちょうどいいんです」と三浦さん。
ちなみに、お花の教室を主宰する妻が生徒に薪ストーブ料理をすすめたら、「うちはおき火にしたら寒くて調理どころじゃない」と言われたのだとか。
窓辺に飾られているのは、妻の作品であるドライフラワー。
リビング東側は書斎スペース。独立した子どもの机を転用しています。
玄関脇には2階に通じる階段があり、奥は洗面・脱衣室につながっています。
冬は扉をあけた瞬間に暖かさに驚かされる玄関。ちなみにこの家で唯一結露するのは、玄関扉の金属ノブ。結露がないのでカビも生えません。夏は「蔵に入ったときのようなひんやり感があります」(三浦さん)。
キッチンとダイニングにこだわった妻。L字型にしてダイニングとの境にカウンターを設けたキッチンは、切り花を教えるときにも大活躍です。
薪ストーブで使う薪は窓の外のテラスから
ダイニングと玄関ホールを隔てる壁面は造作の収納。上部が開いているので空気が通ることはもちろん、視線が抜けて圧迫感が軽減されます。
2階の南側にあるゲストルーム。階下から貫通する薪ストーブの煙突がアクセントになっています。
リビングの外側にはデッキテラスが広がります。薪棚はウッドデッキの東西に向かい合う形で設置されるほか、ガレージにも6m幅のものが備わります。
薪になる木は春先に丸太で購入して、三浦さんが薪割りまで行います。アメリカの箴言(人生の教訓の意味)に「薪は三度人を暖める」というのがあります。1回目は薪割り、2回目は火を焚いたとき、3回目はその火で調理したものを食べたときなのだそう。
果樹園から引き取った古木も薪として用いています。リンゴの薪はいい香りがするのだとか。
高断熱住宅はストレスのない健康住宅
大ぶりなダイニングテーブルは夫婦ふたりには少し大きめですが、花の教室のときには作業台に早変わり。作業に熱中してもキッチン奥のエアコンがクールダウンしてくれます。
南側の天井までの高さがある大型の木製サッシはドイツ製の高性能トリプルサッシで、熱を外部に逃がしません。またダイニングの頭上には吹き抜けを設けて、1階と2階の空気が循環する仕掛けに。高い断熱性能があるからこそ実現できた、開放的な間取りも心地よさの要因です。
「この家で暮らしてから、冬でも暖かいのが当たり前になってしまって、外出先が少しでも寒いと家に帰りたくなってしまうんです」(妻)。
朝の快適さも格別なのだそう。「布団から出るのも苦にならないし、パジャマ姿で1階に下りても寒さを感じることはありません」(妻)。
ヒートショックや温度によるストレスを感じずにすむ三浦さんの住まい。高断熱住宅は暮らす人にガマンを強いるどころか、健康的で穏やかに過ごせる住まいなのでした。
この家のデータ&使われている素材と設備
敷地面積/233.61㎡(70.79坪)
延床面積/138.84㎡(42.07坪)
1階/79.20㎡(24.00坪)
2階/59.64㎡(18.07坪)
用途地域/第2種中高層住居専用地域
建ぺい率/60%
容積率/200%
構造/木造軸組工法
素材
[外部仕上げ]
屋根/ガルバリウム鋼板瓦棒葺き
外壁/杉板横張り
[内部仕上げ]
床/杉、畳 壁/プラスターボード+塗装 天井/プラスターボード+塗装
設備
厨房機器/LIXIL
衛生機器/LIXIL
窓・サッシ/ドイツ輸入サッシ
設計/三浦秀一+竹内昌義(東北芸術工科大学建築・環境デザイン学科)