●保育料は私大並み!アメリカでの育児はお金がかかる

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アメリカでも「保活」は悩みのタネ。産休・育休も満足にないため、産後すぐに乳幼児を保育園(アメリカではデイケアと呼ばれます)に通わせますが、そのほとんどが私立のため年間1万ドル超え! アメリカ全国平均では1万4000ドルと言われています。日本円にすると約190万円の出費となり、日本の私立大学に通わせるのと変わりません。

幼稚園年長からの義務教育が始まるまで5年間通わせると7万ドル、総額1000万円近くかかる計算です。しかも、これは子どもひとり当たりの数字なので、複数いたらそれこそ悲鳴が出るくらいの痛い出費。

「こんなにお金がかかるなら、子どもを預けて働いても足が出るという人は多いのでは?」と思うところですが、要件にあてはまる低所得者には手当があり、保育園も無償に。富裕層はフルタイムで育児のプロフェッショナルである「ナニー」を雇い、保育園に通わせることはしないので、保活のしわ寄せがいくのは中流家庭。産後に早期職場復帰を希望するなら、「数年間の我慢」と割りきり、涙をのむしかありません。

●それでもキャリアとの両立が可能な理由

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オフィスのある敷地内に保育園を併設し、補助を出す企業もありますが、ほんの一部に過ぎません。日本のような園バスはなく、送迎も必須。ではどうしているのかというと、どうやら夫婦の連携プレーと、アメリカならではの自由度の高いフレキシブルな働き方に秘密がありそうです。

日本で保活と聞くと、どうしても「ワーママのキャリアと子育ての両立」など、ママだけにフォーカスが当たりがちですが、アメリカでの保活はカップルの場合、あくまでパパ(またはもうひとりのパパ、ママ)やパートナーと一緒に行うもの。

お互いに1年で3か月の無給休暇、2週間の有給休暇があるなら、ずらして取得すれば生後7か月まで、保育園に預けなくてすむかもしれません。ママ、パパのどちらかフレキシブルに働ける方が家に長くいられれば、フルタイムで週5日預けず、週3日でよくなる場合も。経済的に見てもママのキャリアが優先と考えれば、専業主夫になるパパもけっして珍しくありません。

また、アメリカは成果主義で残業がないため、みんな定時でさっさと帰りますし、不要な飲み会などのつき合いもなし。決まった仕事が終わりさえすればよく、融通が利く職場が多いように思います。どちらかが夜明け前から働いて昼終わりとしたり、1日8時間勤務のところを10時間働いて週4日勤務、週休3日にしたり、休日出勤と平日休みを調整したりすることが可能なら、フルタイムで保育園に預ける必要はなくなりますね。子育てのために在宅勤務や時短勤務にきり替える人もいます。

コロナ禍を経て、社員の要望に応じてリモート勤務を継続する会社は増えています。日本より保護責任が厳しく問われるアメリカでは、地域によって、いわゆる「鍵っ子」は違法となり、法律で定められていなくても虐待疑いで警察に通報されてしまいます。そのため、ちょっとの間でも小さな子どもを置いて外出することはできません。そういうときはベビーシッターを雇うなどして見守り役を手配する必要がありますが、リモート勤務なら保育園が休みになっても家にいられるわけです。これは子育て世帯、とくにシングルの親にとってはうれしい変化のひとつと言えますね。