少子高齢化が進んでいる日本。子どもの数は年々減少していますが、一方で保育園の待機児童問題も…。では海外の保育園はどうなのでしょうか? 今回は、アメリカ・シアトルに住んで十数年、子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、「アメリカの保活事情」について教えてもらいました。

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産休・育休は勤め先次第の「アメリカ」

保育園
日本の子育て支援は充実している…?(※画像はイメージです)
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アメリカから日本に一時帰国して驚くのは、子どもを預ける施設やサービスが充実し、しかも安いという点です。日本では産休・育休が充実しているうえに、保育料が無償の対象というのは本当にびっくりします。

●意外と知られていないアメリカの「産休・育休」の実情

あまり知られていないかもしれませんが、アメリカは産休・育休の「後進国」。有給でいつまでも休める公的制度が整う日本とは雲泥の差です。

アメリカでも出産前後に年12週間の休暇を取得できる権利が国で認められていますが、働く企業の規模の大きさに加え、雇用期間や労働時間などの諸条件を満たす必要があり、しかも無給。このゆゆしき問題をなんとかしようと、アン・ハサウェイさん、メーガン妃をはじめとした、セレブやインフルエンサーも声を上げ始め、ここ数年は私が住むシアトルのあるワシントン州含め、これを有給とする州が増えてきていますが、結局は州や企業任せというのが実情です。

また、低所得者以外には日本のような国民皆保険制度がないアメリカでは、個人、または会社を通して保険に入る必要があり、医療費の高騰から、出産費用も保険がきくとはいえ高額。そのため、保険や有給休暇など福利厚生の充実する大企業の社員ならともかく、無給でしか休暇が取れない場合、職場復帰を早める傾向にあります。4人に1人のママが、なんと産後2週間で職場復帰しているというデータも!

2022年はついに、これまで有給の産休・育休延長をウリにして優秀な人材を集めてきた大企業が、IT企業を中心に大量解雇と採用凍結にシフト。これからは逆に、有給の産休・育休を短縮する流れになっていくと言われています。経済の先行きが見通せないなかで、パパも平均1週間程度しか休めないという悲惨な状況です。

そう、実際に休暇を有効利用しているかどうかはさておき、法律だけ見れば、ママだけでなくパパも長期の産休・育休を有給で取得できる日本は大変恵まれている環境と言えます。