●伝統的なウクライナの郷土菓子「ブリンチキ」

「義母ニーナがよくつくってくれるスイーツは、ウクライナの郷土菓子が多いかしら。見た目の華やかさはありませんが、素朴で温かいおいしさに満ちています」

長い時間をかけてつくり継がれてきた伝統的な菓子は、食べると心まで癒されます。そんな郷土菓子のひとつに、ウクライナ人が子どもの頃からよく食べているブリンチキがあります。

いわゆるクレープで、甘いフィリングを包むデザートタイプのほかに、イクラなどを巻いた塩気のあるセイボリータイプもあって、おやつや軽食として楽しめます。

デザートタイプは、ねちっとした食感のくるみフィリングや、爽やかでさっぱりとした甘さが特徴のクリームチーズのフィリング以外にも、シンプルに果物やジャム、サワークリームを巻いてもおいしいです。

ブリンチキ

ブリンチキ
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材料(直径18cm の円形8枚分

  • A[牛乳300ml、卵2個]
  • グラニュー糖 大さじ1
  • 薄力粉 140g
  • サラダ油 適量

【クルミのフィリング】

  • バター(食塩不使用) 50g
  • グラニュー糖 50g
  • B[クルミ(ローストして、粗く刻む)100g、牛乳40ml、ラム酒大さじ1、レーズン大さじ1]

【クリームチーズのフィリング】

  • クリームチーズ 160g
  • レーズン 50g
  • グラニュー糖 大さじ1と2/3
  • レモン皮(みじん切り) 大さじ1

【つくり方】

(1) Aをよく混ぜ、グラニュー糖を加えてさらに混ぜる。

(2) 薄力粉を少しずつ加え、だまにならないように混ぜる。

(3) フライパンにサラダ油をひいて弱火にかけ、2をお玉1杯ほど流し入れ、全体に薄く広げる。

(4) 中火(または強中火)にして30秒ほど、上下を返してもう片面も30秒ほど焼く。

(5) クルミのフィリングをつくる。小鍋にバター、グラニュー糖を入れて弱火にかけ、グラニュー糖が溶けたらBを加えてさっと火を通す。

(6) クリームチーズのフィリングをつくる。すべての材料を混ぜ合わせる。

(7) (4)に(5)、(6)をそれぞれのせ、巻いて食べる。

●一日でも早く、平和が訪れることを願って

65歳を過ぎた頃、平野さんはニューヨークでご縁に恵まれ、イーゴさんと結婚しました。

「当初、ウクライナがどこにあるのか、それすらも知らなかったのが正直なところです。2022年で結婚して5年。その間にロシアによるウクライナ南部のクリミア併合のことなどを勉強しました。そして、また、ロシアによるウクライナ侵略が始まりました。国土の美しさもウクライナの大きな特徴だと聞いていましたが、その美しい国が地獄絵さながらの状況です。心はなかなか晴れませんが、みなさまにおいしいウクライナの味を知っていただき、あらためてウクライナのことを理解していただける機会になればうれしい限りです」

 

ウクライナ・キーウ出身のイーゴ氏の実家、キャプション家に伝わる「サラダとサイドディッシュ「スープ」「メインディッシュ」「デザート」といった家庭料理のレシピを、美しい写真とともに紹介しているのが『ウクライナの家庭料理』(パルコ出版刊)。料理を介して、ウクライナについてもっと知ることができそうですね。なお、この本の印税、および売上金の一部はウクライナ人道支援のために寄付されます。

 

キャプション家に伝わる日々のごはん ウクライナの家庭料理

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