9月23日から24日かけて、静岡県に大きな被害をもたらしいた台風15号。4年前にハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターも実際に被災し、大変な思いをすることに。あれから1か月以上がたち、少し冷静に振り返りができるようになった今、当日どんな体験をしたのか、また、なにが必要だったのかを語ります。災害の備えの参考に。

冠水被害
筆者の家では、あふれ出た水が自宅玄関前まで押し寄せた
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ハザードマップで災害が想定されていない自宅が被害に

冠水した住宅街

台風15号で静岡市在住の筆者も大きな被害を受けました。家の前の道路が冠水し、停電・通信障害が発生。ハウスメーカーで家を建てて4年になりますが、このような経験ははじめてのことです。

筆者の住む場所は、近隣には緑地や遊水地があり、直線距離約1㎞のところに川があります。土地選びの際、近隣住民から「住んでいる地区は、七夕豪雨のときに冠水したが、そのあとに下水道が完備され、以来、大雨が降っても冠水が起こったことがない」と聞きました。実際、ハザードマップ上では、災害が想定されていない地区です。

 

太陽光発電だけではダメ、蓄電池の必要性を痛感

太陽光発電がわかる操作パネル

筆者は、家を新築する際、売電できる10.5kWのソーラーパネルを搭載しました。しかし、蓄電池は搭載していません。普段は発電した電力を家庭内で消費する電力として使い、余剰分を売電しています。

ですから、理論上は発電できる日中は停電を防ぐことができます。しかし、今回の台風で就寝中から14時くらいまで約12時間、停電生活をすることに。

 

切り替えることで2口のみコンセントを使用することが可能

停電中は、ハウスメーカーの標準的な仕様で、自立運転モードに。切り替えることで2口のみコンセントを使用することが可能です。自立運転用の2口コンセントはそれぞれ1500Wまで対応しており、キッチンに設置にあります。

そこで1口は冷蔵庫に使用。もう1口は、タコ足配線を利用してパソコンやタブレット、スマホなどの充電と扇風機に使用しました。パソコンやスマホは連絡や最新情報を取るために充電しておく必要があると思ったからです。扇風機はエアコンが使えず、室内にいても熱中症になる危険を感じたためです。

停電した当初、情報を知りたいと、テレビをこのコンセントにつないでみました。しかし、電源は入ったものの、各局の電波が受信できず使用できません。原因は不明でしたが、同じ時間帯ではスマホからのネット検索もできませんでした。通信機器に障害が発生していたため情報が入ってこなかったようです。

しばらくしてクルマのカーナビからテレビを観ることができ、それが最初の情報源となりました。

窓をあけて換気はしましたが、冠水により異臭が…。気温が高い時期は、熱中症対策も必要です。異臭は、冠水していた道路が完全に復旧した次の日も継続していました。

2口しかないコンセントですが、生活に必要な最低限の電力がまかなえ、電気が使用できるありがたみを経験しました。

しかし、今回、この自立運転モードだけではダメなことがわかりました。太陽が出ている間はコンセントが使用できますが、夜間は使用できません。夜間も使用したい場合や家のすべての場所に電気を供給したい場合は、やはり蓄電池が必要でした。停電が長引く場合は蓄電池があると便利だと実感しました。

 

停電で換気扇が使えない!勝手口がその代わりに

カセットコンロ

わが家は防災用品として防災リュック、非常食、懐中電灯のほかに、カセットコンロを用意しています(筆者の家はオール電化のため)。

今回の台風でいちばん役立ったものは、カセットコンロです。お湯を沸かして娘のミルクをつくったり、料理をしたりしました。停電により換気扇は使用できないため、勝手口を少しあけた状態で料理をすることで換気をしました。

ゴミ出しとキッチンの明りとりのために設置した勝手口ですが、今回は換気という点でもあってよかったと思いました。

また、自宅前の道路が冠水しているとわかった時点で、断水の懸念もしました。飲料水は非常用の5年保存水を購入していたため安心していましたが、生活用水が必要になるかもしれないと判断。すぐにお風呂・洗濯機に水をため、防災用品として用意してあったキャンプ用のタンクに水を貯めました。

付近では時間が経過してから、断水した地域もありました。災害時、まだ水が出るなら、念のため生活用水として確保しておくといいと思います。