住宅番組のMCを務め、ついに住宅探訪の本まで出してしまった家好き芸人・アンガールズ田中さん。「マリメッコ」など数多くの商業空間のインテリアデザインや設計を手掛ける、imaの小林恭さん・マナさんの事務所兼自宅を訪ねました。そこは豊かな緑とたくさんのアートに囲まれた世界。「1階のダイニングから出られるデッキが最高! 目の前に公園が広がり、すっごくのどかで癒やされます」とご満悦です。

ロフトからリビングを見下ろす
リビングでくつろぐ田中さんと小林さん夫妻。ヘリンボーン張りのオークの床やカラフルなクッションを積み上げたソファも印象的!
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見せる収納と隠す収納でセンスよく

リビング

色とりどりのクッションやさまざまなアート作品が並べられた、壁一面のガラスケースが印象的な、小林邸の2階リビング。「マリメッコ」など数多くの商業空間のインテリアデザインや設計を手掛けてきたふたりならではの、カラフルではなやかな空間です。

「いろんなアートがセンスよく飾られていて、見ているだけで楽しいですね~」と田中さん。飾るものは夫妻で話し合って決めているそう。ガラス扉をつけたことで愛猫・マロンちゃんにいたずらされる心配もなし。

作品を美しく見せる調光式ライトも設置されており、「設計段階ではもう少し小さかったけれど、潔く全面ガラスケースにしてよかったです」(マナさん)と、見せる収納を存分に楽しんでいるようです。

 

扉をあけるとミニキッチン

一方、ガラスケースの反対側の壁面には、クリーム色の扉つき収納が。扉をあけるとミニキッチンが現れます。事務所兼自宅の小林邸は、1階に仕事場とキッチン&ダイニングを配したため、夫妻がリビングでくつろぎながらお酒を楽しむために設置したものだそう。

ボトルやグラス、下部にはゴミ箱も収納されています。さらに2階には、大量のファブリックを収納する棚や、レコードやCDを収納する恭さんの書斎、かわいい雑貨が並ぶマナさんの趣味部屋も。緑を眺めながら入浴できるバスルームもお気に入りだそう。

 

【この住まいのデータ】

  • ▼家族構成
    夫56歳 妻56歳

    ▼住宅の面積
    敷地面積/165㎡(50坪)
    延床面積/132㎡(40坪)1階66㎡(20坪)2階66㎡(20坪)

 

バスタブから眺める緑は最高!書斎はレコード&CDの宝庫

緑を眺められるバスルーム

緑を眺められるバスルームは、洗面台、浴槽、シャワーブース、トイレをまとめたオールインワンスタイルです。

 

大量のファブリック

2階廊下の取っ手を引き出すと、大量のファブリックが入った棚が出てきます。

 

書斎は大量のレコード&CDを収納した棚が圧巻

DJや選曲の仕事もしている恭さんの書斎は、大量のレコード&CDを収納した棚が圧巻!

 

バング&オルフセンのスピーカー

リビングにさりげなく置かれているオレンジ×ピンクの丸い物体は、バング&オルフセンのスピーカー。

 

間取りと周辺環境

間取り

1階は中央にキッチンを配し、西側にオフィス、東側にダイニング兼打ち合わせスペースを配置。公園に面した北側には建物の幅いっぱいにデッキを設けています。プライベートエリアである2階もリビングやバスルームから緑を楽しめるよう北側に開き、南側は閉じて高窓から採光を図っています。

 

デッキからそのまま公園に出られる

デッキからそのまま公園に出られます。公園はまるで大きな庭のよう。

 

フェンスで目隠し

ダイニング南側のデッキ側は、隣家があるので、フェンスで目隠し。日差しをさえぎるオーニングも設置しています。

 

アプローチにもフェンス

旗竿敷地のためアプローチにもフェンスを設け、ブドウなどのつる性植物をはわせています。

 

北側に隣接する公園を庭のように楽しむ

ダイニング

ダイニングやキッチンが配された1階は、どこにいても北側の公園が見え、デッキに出るとまるで森の中にいるよう。

上の写真は、掃き出し窓と広いデッキを設けた北側の眺め。「あえてカーテンはつけなかったんですね」(田中さん)。

ここが東京であることを忘れそうになります。「マリメッコの店舗設計に携わっていたとき、本社のあるフィンランドのヘルシンキに頻繁に行っていたんです。ヘルシンキは、街からクルマで15分も行けば森の中。自然が身近で、すごくうらやましかった」と恭さん。そんな暮らしを実現できる土地を探し求め、ここに至ったそうです。

「井の頭公園の端っこなので人通りは少なく、とても静かなんです。北向きなので、公園の緑がきれいに見えるのも気に入っています」と話すマナさん。ここで暮らし始めてからはデッキで朝ご飯を食べ、1日1万歩以上歩き、双眼鏡を買ってバードウォッチングをするなど、生活が一変したといいます。

「まさに公園が庭ですね。ボクは広島の田舎育ちだから、こういう場所にいると落ち着きます」と、田中さんも自然を満喫していました。

 

打ち合わせスペースを兼ねるダイニングの壁面

打ち合わせスペースを兼ねるダイニングの壁面には本棚を設置。中央のクリーム色のパネルをスライドさせると、テレビが現れます。

 

キッチン

オフィスとダイニングをつなぐ通路にもなっているキッチン。面材にはグレーのコンクリート型枠用合板を使用。

 

開放的なダイニング

北側と南側にデッキを備えた開放的なダイニング。ボランティアで預かり中の保護犬・イチゴちゃんも参加。

 

1階西側には、天井高のあるオフィスを配置

木々の緑をダイナミックに感じる1階西側には、床を一段下げて天井の高さを確保したオフィスを配置。床を下げることで公園の見え方も変わり、仕事にも集中できそうです。

大きなイラストが描かれた壁がアクセントになっており、2階同様、緑とアートに囲まれた空間になっています。

 

壁に作品を展示

夫妻が展覧会の会場構成を手掛けたアーティスト・鹿児島睦(かごしままこと)さんの作品が壁一面に。このグレーの壁には構造としての柱が入っていて、空間を支える役割も。

 

オフィスとスタッフ

「公園の中を歩いて通勤するようになってやせました」というスタッフも。

 

収納スペース

グレーの壁の裏側は大容量の収納スペース。棚には既製品のスチールラックを2段重ねて使用しています。

 

1階は土足

オフィスとダイニング、キッチンが配された1階は土足で、2階のプライベート空間へはスリッパで。

 

キッチンのカウンター越しに公園の緑が見える

玄関正面の造作の棚の向こうはキッチン。カウンター越しに公園の緑がちらりと見えます。収納のグレーの扉は、2階で使用されていたクリーム色の扉と同じく、ホームセンター「ジョイフル本田」で買ったコンクリート型枠用合板。

●お知らせ
田中さんが住宅雑誌『住まいの設計』で2018年から連載している「家好き芸人 アンガールズ・田中が行く!建築家の自邸探訪」が、1冊の本になりました。これまで田中さんが訪ねた個性豊かな20軒のお宅を掲載。加えて、田中さんの素顔に迫る新規記事も充実しています。

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