新築の際、システムキッチンと一緒にカップボードを採用する方も多いでしょう。日刊住まいライターもその予定でした。しかし、将来の生活をイメージした結果、あえてやめて、シンプルな体裁のカウンターを造作することにしました。あれから5年、その決断に大満足。その使い勝手を語ります。

造作のカウンター
造作のカウンターはあえてシンプルに。既成の収納と組み合わせ、フレキシブルに活用
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わが家がカップボードをやめた理由

プラン図

5年前にハウスメーカーで家づくりをしたわが家には、広さ約5畳のカウンターキッチンがあります。じつは当初の計画では、ハウスメーカー標準仕様のシステムキッチンにして、メーカーが提案したカップボードを設置する予定でした。

プランニング時に、キッチンに必要と筆者が考えていた要素は以下の3つ。
・たくさんモノが置ける長いカウンターがある
・動線が短く、扉や引き出しの開閉をせずに、よく使う道具が出し入れできる
・45Lのゴミ箱が最低3つ置ける、ゆったりゴミ箱スペースを確保する
・ボウルやラップが簡単に出し入れできる、高さ調整つきオープンラックがある

この希望をすべて満たしたうえで、カップボードを置くには、計画中のキッチンスペースは狭すぎることが判明。メーカーが提案するカップボードの仕様は細かくあるので、選択肢は多いのですが…。しかし、どうしてもなにかを犠牲しないと設置できません。

考え抜いた結果、カップボードはやめて造作カウンターを設置することに。かつ、メーカーに造作してもらうという結論にいたりました。

 

イメージ図を素人なりに作成

ハウスメーカーに意図を伝えるために、筆者がつくったキッチン背面のイメージ図がこちら。

 

キッチン背面図

基本は、長いカウンターとオープンラック、つり戸棚という構成です。

カウンターの下半分はゴミ箱スペースに。左半分はザルやボウルといったよく使うキッチングッズや、ラップなどの消耗品を収納するオープンラックに。

カウンターそのものは、シンプルなものをハウスメーカーに造作してもらって、中はフレキシブルに使おうという作戦です。ラックは、サイズが適当な既製品を採用するつもりでした。ちなみに、もともとカップボードに入れる予定だった食器は、システムキッチンの引き出しに移動することを検討。

食器が収まるか不安でしたが、当時の食器棚の中身は使っていないものばかり。新居にはこの手のものを持ち込まなければ、3人家族でもあるし、いけると判断しました。

 

完成した造作カウンターと5年間の使い心地

その後、造作カウンターは設計図どおりに無事完成。5年使ってきてわかってきたメリットとデメリットを紹介します。

 

●たくさんモノが置ける長いカウンターは便利

シンプルな造作のカウンター

カウンターは長さ2550mm、奥行き40cm。イメージ通りのカウンターが完成しました。素材は集成材で、表面は「ブライワックス」という塗料で仕上げています(ちなみに、造作はハウスメーカーですが、ペイントだけDIYしました)。

これくらいの長さがあると、調理家電をたくさん載せても余裕があります。また、作業台としても重宝。わが家では、焼き上がったパンをここで冷ますことも。ちなみに、買い物帰りに、買ってきたものを一時置きする際も利用しています。

カウンターのおかげで、狭いキッチンにもかかわらず、面積以上に開放があります。また、キッチンの使い勝手もアップしました。

デメリットは木製なのでダメージを受けやすいところ。シミにも気をつけないといけません。ただ、それがよい味にもなっています。

 

●高さ調整つきのラックで、置きたい位置に

ラックと組み合わせた様子

オープンラックは高さ調整できる既製品を購入。価格は2つで1万円弱程度。ここにザルやボウル、ラップなど調理でよく使うものを収納しています。

オープンラックのメリットは、調理中にぬれた手で扉をいちいち開閉しなくてすむところ。さっと取り出して、さっとしまえます。また、置きたいものの高さや、取り出しやすさを考慮して、棚の位置が自由に調整できるのにも満足。

デメリットもあります。ホコリが入りやすいです。一応、カーテンはつけましたが気やすめ程度。これは承知の上だったので、受け入れて使っています。

 

●45Lゴミ箱が最低3つ置けるスペースを確保

3つのゴミ箱が並ぶスペース

ゴミ箱スペースは希望通り45Lボックスが3つ収まりました(最大4つまで収納可)。3つにこだわった理由は、わが家は「生ゴミ」と「ペットボトル」と「燃えないゴミ」が大量に出るから(そのほかの分別ゴミはそこまで出ないので、それぞれの袋に入れてゴミ箱の隣のカゴにまとめて入れています)。

ゴミが捨てやすく、容量たっぷり、分別しやすいゴミ箱スペースが実現し、ゴミに対するストレスが減り満足しています。デメリットも今のところなし。

ちなみに、メーカーのカップボードのオプションにもゴミ箱スペースはありましたが、ゴミ箱が3つ入る設定は残念ながらありませんでした。

 

●つり戸棚は悩んだすえ、ハウスメーカー純正品を採用

つり戸棚の様子

最後まで悩んだのが、このつり戸棚。これだけはメーカー純正品を採用することに。結果としては、システムキッチンと統一感が出て、キッチン全体の見た目がよくなり、狭いキッチンの収納力も向上しました。今となってはケチらなくて本当によかった!

 

●食器はシステムキッチンの引き出し内へ

引き出しに収まる皿類

肝心の食器は、無事にシステムキッチンの中に収まりきりました。今のところ不自由なし。新居への引っ越しのあとも、何度か不用なものを手放しています。

容量が限られていることで、自分にとっていらないものをため込まない習慣が身につきました。

 

●お財布にやさしい

じつは、カップボードをやめた理由には、ハウスメーカーの見積もりが高すぎたのもありました。価格は、安い中古車が1台買えそうなほど。

シンプルな造作カウンターにしたことで、当初のカップボードの見積りの半額以下に抑えることに成功。割安な集成材を使い、自分でペイントしたことも安くできた秘訣でした。