●(3) メモで日常をたし算する

私は極端に記憶力が悪く、取材先で素晴らしいお話を聞いても、本を読んで「なるほど!」と目からウロコが落ちる刺激を受けても、1週間ほどすると、「すご~く感動したことは覚えているんだけれど、その内容がなんだったか…」という情けない状態になります。このままでは、せっかくの経験がどんどん垂れ流しになって、ちっとも積み重ねられない。かといって、メモしたり、日記をつけたりという根気のいる作業はもっとも苦手…。

そんなとき、たまたま前田裕二さんのベストセラー、『メモの魔力』を読みました。この本で私が一番「なるほど」と思ったのは、メモを取った後のお話。メモの内容は、その日起こった事実です。それを「抽象化」する、という作業が大事なのだとか。つまり、事実を記録してから、そこから導き出した自分にとっての「真理」を書き加えるということ。

メモ帳
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続けられるかどうかはわからないけれど、珍しく「やってみよう!」と思い立ちました。まずは「無印良品」で小さなノートを購入。外出するときにも、ストレスなくバッグに入れられるよう、軽くて小さめを選びました。さらに6色ボールペンもセットして持ち歩きます。あれもこれもと欲張ると負担になるので、ハッと心が動いたときにメモするようになりました。すると、今までなら、どんどん忘れていたであろう言葉が、ノートの中に宝物のように残っていくので、なんだかワクワクしてきました。

お風呂

一日の終わりにお風呂に入るとき、このノートを持って入ります。湯船に浸かったら、風呂のフタを広げてタオルを敷き、メモをのせます。そして、今日一日のメモを読み返します。読み返しながら、6色ボールペンで、「記録」に対する分析や感じたこと、そこから導き出したアイデア、これからの計画に転用できそうなことなどを書き込んでいきます。ペンを走らすと、思考がぐんと深まって、自分でも思ってもいなかった言葉を書きたしたり、これからの展望が開けたり。

毎日ノートを見返すので、昨日、おととい、その前の日と、「感動の記録」を何度も反芻(はんすう)することができます。「読み返して」「書きたす」という作業を通して、自然に記憶も鮮明になり、仕事で文章を書くときに、「あ、そうそう! あんなこと考えたんだった」と、自分で構築した真実をヒントにできるようにもなりました。サラサラと流れていく時間を、このメモがき止めてくれて、昨日に今日を、今日に明日をたし算していく暮らし方ができるようになればいいなあと、思っています。

 

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