●80代を過ぎてミシンに夢中に

面倒な存在の父・G3ですが、やはり娘として気にはなります。G3が82歳の頃、kikiさんは壊れたミシンの修理をお願いしました。

「やることもなく、病気のために体調も思わしくないG3は、1日のほとんどをベッドで過ごしていました。ミシンの修理をすることで、長年培ってきたG3の職人魂がよみがえり、少しでも元気になればいいなと思って、頼みました」とkikiさん。実際に、G3はベッドから起き上がり、あっという間にミシンを修理。今まで、ミシンに触れたこともなかったのに、職人魂に火がつき、その日からミシンに夢中になりました。

ミシンをするおじいちゃん
G3がミシンを始めたのは、なんと82歳。何歳からでも新しいことは始められます!
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初めは、kikiさんが初心者でもつくれるようなコースター、ポーチなどを提案しました。そのうち、G3は職人として培ってきた探究心と負けず嫌いの精神で、バッグや財布など難しいものを縫えるようになっていきます。ミシンはすべて独学だとか! でも、ここで問題が勃発します。

工房
ベッドから歩いて2秒で職場に。三重県の四日市にある、平屋の一軒家がG3sewingの工房です。

「生地やファスナー、スナップなど、材料にもけっこうお金がかかります。G3の年金は月3万円ほど。病院代や薬代でほぼなくなってしまうので、自分では買えません。私が材料費を負担していましたが、だんだん苦しくなってきました。そこで、材料費を捻出するために、できたものを販売しましたが、そう簡単に売れるはずもなくて…。趣味だからやめてもいいのですが、楽しそうにミシンをかけているG3を見ると、なんとか続けさせたあげたいという気持ちに。姉たちからは『ミシンをかけていると大人しいので、私たちもラク。どうにか続けさせてあげて』と頼まれました」

板挟みになり、kikiさんは悩んでいました。