●教科書も教材動画も「セックス・妊娠・出産」の描写が具体的

私にとってその授業は、ある日突然唐突に始まりましたが、じつは私の家族には事前に学校から相談があったそうです。私が海外からの子どもであることを配慮してのことだと思いますが、私の両親は、せっかくスウェーデンで生活をするのであれば、スウェーデン人と同じ教育を受けさせたいと判断しました。

女性の妊娠過程の図
性教育の教科書の1ぺージ
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その日、男女ともに集められた教室で流されたのは、男性と女性の裸の映像。カップルと思われる男女が一緒にお風呂に入り、抱き合い、そして妊娠。徐々に大きくなるおなか…。当然教室は生徒たちの大歓声で、大はしゃぎでしたが、たしなめられることもなく、映像は淡々と進み、そして出産の場面へ。

生々しいその映像が流れた瞬間、教室は水を打ったような静けさとなり、中には青くなるほど硬直した生徒もいたように思います。

 

●帰宅後、両親を質問攻めに…

「どうやったら子どもができるの?」ではなく「こんな風に赤ちゃんは生まれてくるの!?」という衝撃の方が強く、それは私に限らずこの日授業を受けた生徒のほぼ全員が、同じ疑問を持って自宅に帰ったと思います。私がそうであったように、親の顔を見た途端に頭の中に巡っていた疑問が嵐のように口から吹き出し、その日もらった教科書をかかえて、親を質問攻めにしました。

教科書には当然性行為の場面も描かれていましたから、質問はその箇所にも及びましたが、これは今思うと、親にとっても大変な作業だったと思います。

最初は顔を赤らめて苦笑いの母でしたが、誤魔化すことなく、学校で習ってきたことが正しいのよ、と答えてくれました。それでもなかなか信じることができずに、「じゃあパパとママもこんなことしたの?」と問いただしたことを覚えています。これが子どもの素直で最大の疑問なのだから、仕方ありません。

小学3年生の私が、スウェーデンに滞在中学んだ性教育は、男女の体の違いから、性行為、避妊の方法、妊娠、出産。どれも具体的に、男女ともに授業を受けました。