●仕事がなくても毎日子どもと一緒にいられるのが幸せだった
すべての画像を見る(全7枚)――お話を伺えば伺うほどに、すごく仲がいいですね!
星一:そうですね、家族仲は本当にいいと思います。とにかく父は暇があれば家にいる人なので、自然といつも一緒にいるのが当たり前になったのかもしれません。
文世:小さいときは、とにかくずっと一緒にいたもんね。まず、長男の星一が生まれたときは、劇団を解散したばかりだったから、仕事がなくて1日じゅう家にいることも多かった。次男が生まれたときもそんなに忙しくなかったので、よく朝から妻と子どもたちと一緒に公園に行っていました。周囲のお母さんたちから「小日向さんのお父さんは、いったいなにをしている人なんだろうな」と不思議に思われていたでしょうね…。
星一:一緒に公園に行くことに、抵抗感はなかった?
文世:僕は全然恥ずかしいと思わなかったなぁ。むしろ、家族と一緒にいられることがうれしかったから。
●自分に子どもができたら「やりたいこと」をやらせたい
――星一さんは、もしお子さんができたら「こんな風に育てたい」というような願望はありますか?
星一:もし、この先自分に子どもが生まれて、その子にやりたいことができたら、反対しない親でありたいです。僕自身、やりたいことがあるときは、とくになにも反対されずにやらせてもらってきたので、僕も素直に応援したいです。
文世:いやいや、大学でパラグライダーサークルに入りたいと言われたときは、結構反対したかなぁ。かなり強めに「危ないからやめて!」って言った気がする。
星一:結局、パラグライダーもやらせてくれたけどね(笑)。
文世:僕も「やりたいこと」をずっとやってきた人生だからね。学校を卒業して、上京して、デザインを学んだあと、写真の学校に行って、でもケガをして役者を目指して。やりたいことも、デザインから写真、役者へとどんどん変わっていった。でも、どのタイミングにも僕の父も「好きにやればいいよ」と言ってくれた。「やめろ」とは一言も言われなかったんだよね。
星一:いちばん印象深いのが、両親に「演劇を仕事にしたい」と言ったときですね。正直少しは反対されると思っていました。でも、父も母も「大変だとは思うけど、覚悟があるならいいんじゃないか」とすっと背中を押してくれたときは、うれしかったな。
文世:僕自身芝居のおもしろさを今回の『スカパン』の舞台の演出家である串田さんに教わっていたから、今でも「芝居ほどおもしろいものはない」と思っているし。芝居の世界は大変だけど、その世界に入ることを止める気は全然なかった。自分の子どもには、自分がいちばんやりたいことをやってもらえるのが親としても幸せだからね。
親子のかけ合いがすてきな文世さんと星一さん。撮影中、2人の写真を見ていた文世さんが「僕より星一のが大きくない…?」と、笑顔で背を比べていたのがとても印象的でした。そんな2人が共演する舞台『スカパン』の上演がとても楽しみですね! ぜひ劇場へ足を運んで見てはいかがでしょうか。
【公演情報】
『スカパン』
串田和美 大森博史 武居卓 小日向星一 串田十二夜 皆本麻帆 湯川ひな 細川貴司 下地尚子/小日向文世
9月30日(金)~10月10日(月・祝) まつもと市民芸術館 小ホール、松本城大手門枡形跡広場
9/30はプレビュー公演
ほか、水戸、北九州、神奈川公演あり。