89歳、戦争を乗り越えてきたからこそ、今感じられる幸せ

東京都内の団地にひとり暮らしの大崎博子さん(89歳)は、11年前に始めたツイッター(@hiroloosaki)では15万人以上のフォロワーがいます。「戦争経験者で、離婚もしたし大病もした。若いころにはそれなりに苦労もしましたが、普通の高齢者です。今はとても充実していて、毎日が幸せ。こんな老後が待っているなんて思ってもいませんでしたね」そう穏やかに笑う大崎さん

大崎博子さん
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「ツイッターを勧めてくれたのは娘です。彼女は面白いよ、って言うんですが、初めはつまらなくてね。そりゃそうよね。フォロワーが数えるほどしかいなかったんですから」

事態が大きく変わったのは、ツイッターを始めた直後に起きた東日本大震災でした。電話もメールもダウンする中、唯一安定してつながったのがツイッターだったのです。

「娘に無事を知らせたのもツイッターでした。そのうち東京電力福島第一原発の事故が起きた。電力会社はなかなか本当の情報を出そうとしない。これじゃまるで、戦時中に国民を洗脳していた大本営発表と同じじゃないか。そんな思いをつぶやいたら、一気にフォロワーが増えたんです」

その年の8月には、若い世代に伝えるために戦争体験を語り、ますますフォロワーは増えることになりました。

今は毎朝の「おはようございます」から始まり、近所でみつけた花の写真や日々の出来事が中心。ですが、夏になると戦争体験を書き込むことにしています。

「21世紀になった今も、世界では戦火が上がっていますよね。いかなる理由があろうとも、戦争は絶対にダメ。若い人にとって、戦争体験なんて想像するだけでも難しいでしょう。それでも、そのことだけは死ぬまで、伝えて行こうと思っています」

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89歳一人暮らし、「毎日が幸せ」。ツイッターやネットフリックスを使いこなす原動力

戦争を経験した90代の祖父、父から川上麻衣子さんが教えられたこと

女優・川上麻衣子さんは、ご家族から戦争体験を聞き、目を背けないようにしているそう。日本ではなかなか日常会話で深く話されない問題について語ってくれました。

川上麻衣子さん

「幼い頃、祖父のおなかには大きな傷跡がありました。戦争で鉄砲玉が貫通して助かった証なんだと教えてもらいました。

昭和一桁生まれの父親は、かたくなに『戦争』を語ろうとはせず、一夜にして教科書を塗り変えなければならなかった現実から、『自由』に生きること、己の信じる道を貫くことを大切にするように教えられました。その父も90歳を過ぎ、ここ最近になって「戦争」を語ることが増えてきました。当時と同じ危うさを、今感じているのかもしれません。

『戦争』に限らず私たち日本人はどうにも、タブー視されがちな事柄について語ることが不得意な気がします。自分の意見がほかの人と違うことを、よしとしないお国柄のせいなのでしょうか。『なんとなく、そこは察してください…』という空気に敏感な気がします」

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川上麻衣子さんが50代の今大切にすること。「未来のために本音で語りたい」
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