玄関をリビングダイニングと一体にする
すべての画像を見る(全25枚)玄関スペースを有効活用する間取りの工夫として「玄関をリビングダイニングと一体にする」という手もあります。このお宅は、ゲートを通って中庭経由のアプローチに。
中庭に入り、ウッドデッキを進むと、奥に玄関があります。
写真手前がリビングダイニング、右奥はキッチン、そして左奥が玄関です。これらの空間がウッドデッキの中庭も含め、一体の空間となっています。
玄関は土間床(タイル)と上部床(フローリング)の段差を最小限にし、空間の一体感にこだわりました。
玄関の隣にはワークスペースがあり、これも玄関と一体の空間に。
1階は玄関を含めてほぼすべてのスペースがワンルーム形状となっていて、日常の生活で玄関スペースも含めた空間の広がりが感じられます。
玄関をリビングダイニングと一体にする際に、大切なのが収納計画。靴やコートやお出かけグッズなどがリビングダイニングに散乱してしまっては困ります。せっかく、玄関を生活空間と一体にして気持ちのいい場所にしたのに、台なしに。
そんな事態を避けるために、このお宅では、靴棚やコートかけ、お出かけグッズの収納など、一間幅(約180㎝)で床から天井までフルハイトの収納をつくりつけています。玄関回りに収納したいものが、すっきりと片づくよう配慮しました。
「玄関をリビングダイニングと一体にする」手法の事例として、もうひとつのお宅を紹介しましょう。このお宅では、板塀の間のゲート抜けてアプローチを進むと中庭に出る、という動線に。
左はウッドデッキのある中庭。右側は玄関扉。どちらからでもリビングダイニングに直接入ることができます。
中庭に面するリビングダイニングの一角(写真左上)に玄関土間があります。このお宅のように南側道路からアプローチする敷地形状では、南側に区切られた玄関を設けると、その分だけ南の庭に面する開口幅が狭まってしまいます。
しかし、このお宅のように玄関をリビングダイニングと一体にするオープン玄関的な間取りとすれば、リビングダイニングの開放感を最大限に生かせます。
玄関をリビングダイニングと一体にする場合、配達などで来訪する人が玄関まで来ると室内が丸見えになってしまう点は注意が必要です。こうした間取りを計画する際は、アプローチ回りの外構まで含めて一体的に考えることが大切です。
もっともこのお宅の場合、玄関の外で受け取るか、アプローチのゲートまで行って受け取るなどすれば、「丸見え」は簡単に防げます。ですので、ちょっとした工夫次第で、デメリットを乗り越えられることも。
このお宅では玄関回りの収納を分散して配置しています。コートかけはテレビ左側の縦型クローゼットに、お出かけグッズはテレビ下の扉収納に。
靴棚は土間部分に。
そして子どもたちのスポーツグッズやアウトドアグッズは、玄関近くの外部の収納にしまっています。こうした工夫をすることで、玄関回りのものがリビングダイニングにあふれることなく、すっきりとした生活ができます。
また、玄関土間はリビングダイニングの中でジャマにならないよう、あえて小さめにしています。
その代わりに、ちょっとした仕かけを。
靴を上がり框(かまち)の下部にしまえるように工夫。なるべく靴が散らからないよう、すっきり暮らせるように配慮しています。
一石二鳥の間取りを取り入れて、豊かな暮らしを
玄関スペースを有効活用する間取りの工夫として、「玄関をある部屋の一部として使ったり、セカンドリビングにしたりする」「玄関をリビングダイニングと一体にする」という2つの手法を見てきました。
いずれも「玄関とほかの機能とを合わせてスペースを兼用する」という発想に基づいています。「一石二鳥」という言葉もあるとおり、こうした「兼用する」という手法を家づくりに活用しない手はありません。
自分と家族の暮らしぶりをみつめながら、思いきった発想で「一石二鳥の間取り」を考えてみてはいかがでしょうか?