【4】「一過性全健忘(TGA)」とは?
一過性全健忘とは頭の外傷はないのに、一時的に新たな記憶ができなくなる状態のこと。自分や家族の名前は分かるのに、自分がどこにいてなにをしているのかが分からなくなるそうです。
一過性全健忘について先生に聞いたり調べてみると、母の状況にぴったりなことが多くありました。
・外傷はない
・自分のことや父のこと、家にいることはわかっている
・父に何度も同じことをくり返し質問する(曜日など)
一方で「中年以降の男性が発症するケースが多い」ことや、発症前々日の記憶も失くしたことは違うなと思いました。
●一過性全健忘(TGA)の治療法
通常24時間以内に症状から回復するそうです。なにもしなくてよいとのこと。母の場合も実際になにもせず、徐々に回復しました。
●回復後も発症中の記憶は戻らないことが多い
回復後も発症中のことは思い出せないことがほとんどという一過性全健忘。母の場合、ワクチンを受けたことなどは記憶が戻っています。
再発することは少ないが、脳梗塞やてんかんなどほかの重大な病気が隠れていることもあるので注意が必要とのこと。もし一過性全健忘のような症状があって記憶が戻っても、念のためMRIなどの検査を受けることをおすすめします。脳梗塞は初期なら後遺症も残らず治療することができます。
【5】一過性全健忘の原因は?再発はある?
じつは最近、大切な友人を亡くしていた母。私は原因はそのストレスではないかと思いました。
すべての画像を見る(全3枚)父は症状が出た後すぐワクチンの相談窓口にも聞いたそうですが、回答は「そのような副反応はまったくない」だったそう。接種自体がストレスになった可能性もありますが、本人はとくに不安はもらしておらず、進んで受けていました。
脳外科の先生のお話も、
・ワクチンとは関係ないと思われる
・原因は複合的なもの
・再発はない
ということでした。
突然の病気はだれにでもあり得る。心と暮らしの準備が必要だと感じた
だれよりもしっかり者の母にアルツハイマー疑惑が持ち上がり、想定外だったので正直焦りました。なんの準備もできていなかったからです。
実際には発症に気づいた日からは徐々に記憶が戻り始め、父に指示や指導をする「いつもの母」になったとか。
今回父はしっかりと日時と母の状態のメモをとり、医師への質問とその回答も箇条書きにノートに記していました。
私も子どもが発熱した時に同じようにしていましたが、どんなときもこの“状態の客観的メモ”は診断の役に立ちます。
●家族の緊急事態のために今からできること
大事なくてよかったですが、「こういうことはいつ起きてもおかしくない年代なんだな」と考えさせられることも多くありました。
防災と同じく、大切な家族になにか起こったときのために常に心の準備、そして自身が身軽に動けるような暮らしの中の準備、たとえば
・子どもが留守番できるように、または預けられるようにしておくこと
・勤務先で常に引き継げるようにしておくこと
などが必要だと感じた出来事でした。