●やりたいことを思いきりやる解放感もある

清水さん
「『伊集院みどり』をやったときは気持ちよかった」(清水さん)
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田房:服もネタもそうですけど、清水さんってバランスの取り方が上手なんだと思うんです。やりたいことを自由に楽しみながらも、ちゃんと客観性がある。私も漫画を描くときは、いつもその境界線上のポイントを探しています。やりたいことをやりすぎると、だれもついてこないから。そこも「距離感」なんですよね。

清水:わかる。あるとき、友達のピアニストがやったコンサートがすごく不評だったの。なぜかっていうと、あまりにも自分自身で感動しながら弾いていたから、お客さんが疲れちゃったんだって。自分がいいと思っても、客観性がないと迷惑なんだよね。

田房:うっとりしちゃうとダメなんですよね。「最高!」と思って描き上げると、ポカーンとされちゃう。自分にとっては当たり前で新鮮味のないことを描いたときの方が、読む人がびっくりしてくれるっていうのがあります。

清水:ただ、やりたいことを思いっきりやる解放感もあるんだよね。昔、『夢で逢えたら』っていう番組で私がやった「伊集院みどり」っていう、不細工でワガママなキャラクターがいて。今ではもうできないネタだけど、私はあれをやったとき、すっごい気持ちよかった。あれはきっと、ボディコンにロングヘアで、高級ブランドを身につけて…っていう、90年代の典型的なイケイケの美人像を壊す解放感だったと思うんだよね。自分の人生ではいい子でありたいという気持ちがあるけど、コントのなかではさらけ出せるから。

田房:清水さんはステージでも、ものまねする人に合わせていろんな衣装を着ますよね。そこで「着たくなっちゃった」を発散できる、というのもありますか?

清水:やっぱりステージだと「ネタだから」という言い訳が立つから。普段はなかなか着られない若々しい服も着られるしね。

田房:この前私、友達を呼んでDJイベントをやったんですよ。

清水:そんなことしてるの? 欲ばってるわ~(笑)。

田房:やりたくなっちゃって(笑)。内輪だけの小さなイベントで。当日、ジージャンとデニムのホットパンツっていう、いかにもアメリカの映画に出てきそうな女の子の格好をしたんです。そのときすごく解放された感覚があって楽しかったんですよね。

パーティ
ウィッグにデニム…したい服装で楽しんだパーティ(『いつになったらキレイになるの?』本文より)

清水:気持ちよかったんだ。そうね、がまんするだけじゃなくて、そうやって自分の欲求を解放するのも大事かもね。

田房:普段はできないぶん、ときどきはそういう場を用意して、「着たくなっちゃった」を楽しむのもアリですよね。今日はありがとうございました!

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いつになったらキレイになるの?~私のぐるぐる美容道~

35歳、鏡を見るのがしんどくなった。子どもを生んで、年齢を重ねて、見た目がどんどん変わってきた。「キレイにならなきゃ!」一念発起して挑んだ、断食道場、加圧トレーニング、エステ、パーソナルカラー診断etc…。ぐるぐる悩んで、さまよって、「キレイ」を探す旅のゴールはどこに?
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