●店員さんに「お似合いです」って言われるのが苦手

田房:私、清水さんの服装もすごく好きです。清水さんはいつも自分で服を選んでるんですか?

清水:レギュラーのテレビ番組はスタイリストさんにお願いして、今日みたいな単発の仕事は自分で。だいたい伊勢丹に行くか、ネットで買ってる。すごいなあと思うのが、今ってネットで買うと、最初から返品用の伝票がついてるんだよね。

田房:それは高級店だから?

清水:そう、高級店だから(笑)。

田房:私が前にとあるネットショップで返品したときは、「本当は返すものじゃないんだよ、あなたはわかってなさそうだから受け取るけどね」みたいなエモーショナルなメールが来ました(笑)。

清水:干渉されるなあ~(笑)。私はデパートで買い物するのは好きなんだけど、試着したときに店員さんから「お似合いです!」って言われるのがすごくイヤなの。

田房:「私も同じの持ってます~」「普段何着てるんですか?」みたいなやつですよね。

清水:そうそう。前にSNSで、「買うかどうか心が揺れてるときに『これ赤いセーターですよ』って、見ればわかること言われると腹が立つ」って書いたら、販売の仕事をしている人から「私たちも仕事をしてるんです」って反応が来たけど、言わない親切もあるとわかってほしい。やっぱりそれも距離感なんだよね。

田房:今回の漫画では、年齢を重ねて体型や似合うものが変わってきたときに、どうやって服を選べばいいのか、自分の見た目を受け入れるには…というのがテーマなんです。清水さんもそういう悩みってありましたか?

清水:60歳を過ぎると「この服が着たい」と思っても、服の方から「ちょっと60代は…」と断られてしょげることはあるよね。周りの人は「若すぎる」と思っても、直接は言ってくれない。自分でジャッジするしかないから、昔よりは冒険できないかもね。

田房:反対に、若い頃より似合うようになったものってありますか?

清水:そうだね、昔は赤は全然着なかったけど、今はありかな。年を取ったら、赤の方から「着てくれ」って寄ってきた(笑)。私は茶色やハイブランドを身につけると、ものによってはすごく貫禄というか、風格が出ちゃうの。だから“妖怪性”が出ないように気をつけないと。

赤
年齢とともに、好きな色や似合う色が変化してくることも(『いつになったらキレイになるの?』本文より)
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田房:わかります! 40過ぎてから髪のパサつきがひどくて、起きたときの妖怪度高まりました(笑)。そこが若いときと違いますね。

清水:そう、妖怪性との戦い(笑)。あと、漫画家やピアニストの人でたまに、「どうしちゃったの?」っていうくらい、妙にゴージャスなドレスで現れることがあるよね。

田房:家でずっと描いてると、着たくなっちゃうのかな。

清水:「着たくなっちゃう」ってあるもんね。私もウエディングドレス着たときは、われながらこっけいだったし。

田房:着たくなっちゃったんですね(笑)。式のときはものまねとかもなしで?

清水:当たり前だよ!(笑)私はデビュー前に結婚したんだけど、義理のお母さんの希望で式を挙げて。でも、お客さんもきれいな花嫁なら見たいだろうけどさあ…。ああ、これはダメだね。ルッキズムだね。