●出会いがある分、避けられない別れもある

「動物が亡くなったときはもう涙を流すほど辛く、落ち込みます。でもこの死を無駄にしてはいけないなと思って、飼育員と獣医師とで至るまでの原因を探し、対策を考え、今生きている動物が健康に長生きしてくれるように考えを向けています」

泳ぐシロイルカ
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「子どもが誕生したときの感動が忘れられなかったり、プログラムを通してお客さまに喜んでいただけるとやってよかったと思える。喜びがあるから続けていられます」

そう語ってくれた加登岡さんの力強い瞳はとても印象的だった。そして、これからの目標についてこう語ってくれたのだ。

「動物がこの環境下でいちばん幸せに暮らしてもらうにはどうしたらいいか考え、そのなかには繁殖が含まれる場合もあるのかと。そこで、横浜・八景島シーパラダイスでも、ブリーディングローンという、いろんな水族館と連携を取っていて、動物をほかの園館に移動させるなど、繁殖に力を入れています。自分たちの水族館だけだと、生きものの血がどんどん濃くなっていってしまうので、水族館同士で協力しあって防ぎます」

かわいいシロイルカ

加登岡さんとお話しさせていただいて、「つないでいくことを大切にされている」という印象を受けた。イルカがおもちゃで遊んでたら次の行動につなげ、命から命につなげ…さらに、人間同士のつながりも大切にされている。

賢いシロイルカ

動物がよりよく生きていられる暮らしについて真剣に取り組んでいらっしゃる、強い責任感と深い優しさのある方だ。

やはりあのときパララとプルルが加登岡さんのもとに泳いできたのは、ごはんのためだけではないように思えるのだ。私はあのときパララとプルルに犬の姿が重なって見えた。ただ朝起きてきただけで、しっぽを振って迎えてくれる犬の姿に。