●種類や特性に合わせたコミュニケーションを
すべての画像を見る(全19枚)イルカは動物のなかでも知性的な印象がある。それは、真偽はわからないが、イルカが人を助けた話が昔からあったりするからではないだろうか…。そこで、実際のイルカと日常的にふれあっている加登岡さんに「イルカってどんな性格だと思いますか?」と聞いてみた。
「見た目もですが、性格もみんな違うんですよね。明らかに気が強いイルカもいたり、マイペースな子や甘えん坊でさわってもらうのが大好きなイルカもいます。人に触られるのが好きな子もいれば、ほかのイルカと遊んでいるのが好きなイルカもいて、個体差はありますね」
「だから、個体ごとによっての特徴や性格を理解したうえで給餌させてもらい、イルカに失礼にならないようにと思っています。得意不得意もあるので、個体によっても、イルカの種類によっても変わってくるので、特性に合わせてもいます」
加登岡さんは、その個体や性格に合わせてコミュニケーションの取り方を変えているだけではなく、さらにその先のことも考えて接している。
「実際に会話はできないのでどう思っているかわからないのですが…でも自発的におもちゃで遊んでいる姿を見ると楽しかったり興味があると思うので、じゃあ新しいおもちゃをつくってプレゼントしようとか次の行動につなげています」
●過ごす時間が長いからこそのかわいいポイント
シロイルカのパララとプルルがボールで遊んだり、撫でられる姿はとても新鮮な姿だった。しかし、自分にとっては新鮮な姿だが、加登岡さんにとっては日常的な姿だと思うと、かわいいと思うところは違ったりするのだろうか。
「普段じゃれあってくるところも好きです。おもちゃをあげたら夢中になって遊んでいる姿も見ていて楽しいです。なんでも興味が湧いて、好奇心旺盛なところがかわいいですね。また、トレーニングをしていて自分が求めている行動をイルカが取ってくれると、理解してくれたんだと感じます。私もイルカと通じ合っていると信じたいですね。そう思いながら一緒にいます」
加登岡さんの話を聞いて、どんなにイルカが賢くとも、やはり信頼関係がないとコミュニケーションは成り立たないと感じた。
「それでもやはりうまく伝わらないときもあって…。でもそれは彼らのせいではないですし、内省して改善できるように考えています」
●動物たちの意外な姿に思わずにんまり
加登岡さんからはこんなエピソードもこぼれた。
「イルカがいるプールの下に砂を敷いてるんですよ。そこでバンドウイルカの中で、少し天然な性格だなぁと思っているループというイルカがいるんですけど、ループがおびれを下に向けて、砂につけるんです。なにをするのかなと見てたら、器用におびれに少しずつ砂を乗せてるんです。誰に教わるわけでもないのに、なんとなくその行為が楽しくてやっていると思うとかわいいですね」
自分の行動に対して動物が反応してくれる姿もかわいいが、動物自ら何かを発見したり遊んでいる姿って無性にかわいい。加登岡さんも、それは感じるそうだ。
「シロイルカだと、ふれあいラグーンは屋外なのでたまにカモメが飛んでくるんですけど水面から顔をだして見てるんですよ。あとは背中にカモメが乗っていてもそのままにしていたりとか…。そういったイルカとカモメなどの生きもの同士の交流にも癒されます。日々どんどん愛情は膨らんでいってしまいますね」
いつもそばにいるからこそ気づける姿、くだけた表情というのはたくさんあるのだろう。それほど動物と身も心も近い距離にいる加登岡さん。いろんな出来事があるなかで、当然落ち込んでしまう日もある。けれどそんなときも動物によって癒されることがある。
「カワウソは人懐っこくて好奇心も旺盛なので、自分がなんにもごはんを持っていない状態でも手をさわりにきてくれたりするんですよね。そういう何気ないコミュニケーションに癒されますね」
お話を聞く前にカワウソの餌やり体験をしていた。私が手のひらに乗せたごはんをカワウソが取ってくれたのだが、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンがブワッと溢れるのがわかった。
そして横浜・八景島シーパラダイスは動物とふれあえるプログラムがたくさんあって、シロイルカともふれあえるのでぜひ足を運んでいただきたい。
この日、私は生まれて初めてシロイルカにふれた。ツルツルとした皮膚は気持ちよくて、いつまでもさわっていたいような、だけどあまりに美しく真白いボディはなんだか神秘的な存在に感じられてふれているのが恐れ多くもなった。胸が締めつけられるような、愛おしさが募っていく。ヒーリング効果は必ずあると思う。