読者から届いた素朴なお悩みや何気ない疑問に、人気作『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社)の作者・菊池良さんがショートストーリーでお答えします。今回は一体どんな相談が届いているのでしょうか。
すべての画像を見る(全4枚)ここはふしぎなお悩み相談室。この部屋には世界中から悩みや素朴なギモンを書いた手紙が届きます。この部屋に住む“作者”さんは、毎日せっせと手紙に返事を書いています。彼の仕事は手紙に書かれている悩みや素朴なギモンに答えること。あらゆる場所から手紙が届くので、部屋のなかはぱんぱんです。
「早く返事しないと手紙に押しつぶされちゃう!」それが彼の口ぐせです。
相談に答えてくれるなんて、なんていい人なんだって? いえいえ。彼の書く返事はどれも想像力だけで考えたショートストーリーなのです。
さぁ、今日も手紙がやってきましたよ──。
【今回の相談】いつもやるべきことをあと回しにしてしまいます…
いつもやるべきことをあと回しにしてしまいます。こんなわたしはダメなのでしょうか?
(PN.あとまわシカさん)
【作者さんの回答】おばけの学校では、こんな夏休みの宿題がでる
ここはおばけの学校。まだ生まれたばかりのおばけたちが、人間の驚かせ方などを学ぶための学校です。
たくさんのおばけたちが、校庭に並んでいます。この日は一学期の終業式。みんなは先生から夏休み生活における注意を受けています。けれども、おばけたちはみんな上の空です。だって、これから夏休みがはじまるんだから。
「宿題はきちんと計画的にやるように。最後の日にあわててやっちゃだめですよ!」
先生がそう言ってもだれも聞いていません。おばけたちには夏休みの宿題として作文が課されていました。テーマは“自分なりの人間の驚かせ方”です。
「こんなのとってもかんたんさ。ちょっと考えたらすぐできるよ」
そう言ってあとまわシカは得意になっていました。
●夏休み初日。あとまわシカを訪ねてきたのは?
しかし、夏休みの初日。あとまわシカはベッドから起き上がりましたが、どうしても机に向かう気になれません。“自分なりの人間の驚かせ方”について考えようとしますが、頭が拒否をします。
そのとき、あとまわシカの家を訪ねてくるおばけがいました。
「あとまわシカ、遊ぼうよ」
おばけのテリーです。テリーは同じおばけ学校の生徒で、いつもあとまわシカといたずらをして遊んでいました。この前も学校の校庭に落とし穴をつくって怒られたばかりです。
「でも、宿題がまだできていないよ」
「あんなのかんたんさ。ちょっと考えるだけだよ」
そう言ってテリーは胸を張ります。力強い目をしていました。なんてかっこいいのだろうとあとまわシカは思います。
「じゃあ、テリーくんはもう宿題やったの?」
「やってないよ!」
テリーは自信満々に答え、ケラケラと笑います。あとまわシカもいっしょになって笑い、遊びに出かけました。ふたりは海岸に落とし穴を作ったりして遊びました。