北京オリンピックもいよいよ最終盤。注目のフィギュアスケートでラストを飾るのは、ペア競技です。
日本からは団体戦の銅メダル獲得にも貢献した三浦璃来・木原龍一組が出場。ペアを結成してまだ3年弱の2人ですが、今シーズンはトップ6組だけが出場できるグランプリファイナルにも進出した(コロナ禍により大会は中止に)急成長中のペアです。

その三浦選手と木原選手が、北京五輪の前に『フィギュアスケートLife vol.26』(扶桑社刊)の独占インタビューに明かしてくれた貴重なエピソードをご紹介します。

木原選手三原選手ペア
北京五輪団体戦ショートプログラム ©JMPA/毛受亮介
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北京五輪フィギュアスケートの注目のペア三浦選手・木原選手インタビュー

18日(金)に行われるフィギュアスケートのペアのショートプログラム(SP)に出場する三浦璃来選手、木原龍一選手のインタビューをお届けします。

 

●憧れの中国選手に教わってつかんだ大技

――五輪で楽しみにしていることは、ありますか?

三浦「私、中国に行ったことがないんです。憧れの選手ウェンジン・スイ(隋 文靜:今大会の金メダル候補である中国ペアの女性選手。平昌五輪銀メダリスト)の地元で滑るというのが、すごく楽しみです」

――木原さんは、これまでどんなペアが好きだったんですか?

木原「僕、怒られるかもしれないけど、シングルからペアに転向した時、本当にペアのことがわかっていなくて。だから最初はペアの選手、全然知らなかったんです。そんな中ですごいなと思ったのは、ハオ・ジャン選手(張 昊:トリノ五輪の銀メダリスト。2002年ソルトレイク五輪から2014年のソチ五輪まで4大会に出場した。2021年2月に引退)。ハオ・ジャンのツイストリフトをよく見ていましたね。それで、ある時、ハオ・ジャンに直接聞きに行ったんです」

――え、なにを?

木原「『ツイストがまったくできないので、教えてください』って。その頃、僕、ペアに悩んでいて、ツイストリフトがまったくもってうまくいかなかったんですね。それで、2017年の四大陸選手権のバンケットで、ハオ・ジャンに頼んだんですよ」

――えー、すごい!

木原「そしたらハオ・ジャンは、『(約1週間後の)冬季アジア大会にも出るよね? このバンケットの会場は狭いから、アジア大会の試合が終わったら教えてあげるよ』って言ってくれたんです。それで本当にアジア大会の記者会見の後、シャオユー(・ユー)ちゃんと一緒にツイストをわざわざ教えてくれたんですよ。ウォーミングアップエリアで、『こうやってやるんだよ』ってシャオユーちゃんを投げさせてもらったり、ハオ・ジャンもお手本を見せてくれたりして。あの時、僕のツイストの原型ができたんです」

――木原さんもハオ・ジャンも素晴らしい! それで、なにかつかみましたか?

木原「つかみました。当初僕には、ツイストで腹筋を使うっていうイメージがなかったんですけど、ハオ・ジャンは『お腹からこうやって投げるんだよ』と教えてくました。あと、足さばきも。ツイストには2タイプあるんですね。スキッド(横に滑ること)するタイプと、ぴょんと跳ねるタイプとがいるんです。僕はもともとはスキッドだったんですけど、ハオ・ジャンのを見て、ぴょんと跳ねるタイプに変えたんです。だから、17-18シーズンには、僕のツイストは跳ねるものに変わっていますよ」

――いいお話ですね! その木原さんが今や世界上位ペアになっているんですから、ハオ・ジャンも嬉しいのではないでしょうか。(後略)

 

●三浦・木原組の「ツイストリフト」に注目

三浦選手木原選手2
女性を宙に投げ、キャッチするツイストリフト。©JMPA/榎本麻美

他国の選手に惜しげもなく技の秘訣を教えてくれたハオ・ジャンさん、素晴らしいですね。ちなみに「ツイスト」というのは「ツイストリフト」というペアの技の一つで、男性が女性を宙に投げて数回転して降りてくるのをキャッチする、というアクロバティックな大技です。また三浦選手はウェンジン・スイ選手に憧れて、ヘアスタイルをマネしていたこともあるほど。

憧れの選手たちがいる中国で、三浦・木原組の2人がどんな演技を見せてくれるのか、団体戦に続いて個人戦も注目です。

 

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フィギュアスケートLife Vol.26

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