●加齢による抜け毛とは異なる「コロナ抜け毛」の特徴とは
では、この「コロナ抜け毛」について、専門家はどう見ているのでしょうか。2020年にコロナ抜け毛相談窓口を設置し、昨年5月からは女性に向けたコロナ抜け毛専用治療プログラムを開始する「クレアージュ東京 エイジングケアクリニック」の浜中聡子先生に、「コロナ抜け毛」の特徴を伺いました。
「『コロナ抜け毛』の特徴のひとつは、抜け毛だけでなく、体のだるさや頭痛・微熱などの他の後遺症も併発しているケースが多いこと。もうひとつは、部分的ではなく、全体的にゴッソリと毛が抜けてしまうのが特徴です。明らかに、普通の抜け毛とは違って、見た目が大きく変わるので、症状が出た方は、かなりびっくりされるようですね」
また、「コロナ抜け毛」のもうひとつの特徴は、30代以下の女性が多いという点です。
すべての画像を見る(全6枚)「一般的に、女性の毛髪は30代後半をピークに量が減っていきます。多くの方が抜け毛に悩まれるのは中年期以降ですが、、コロナ抜け毛を気にされて診察にいらっしゃる方は、30代以下の若い女性が多いです。実際、当クリニックに2020年10月以降コロナ抜け毛が原因で診察にいらした方は、20代~30代合わせて約6割でした」
本来ならまだ抜け毛を気にする年齢でもない30代以下の女性たちにも症状が見られる「コロナ抜け毛」。気になるのが、新型コロナウイルスに罹患すると、なぜ抜け毛が増えるのか。これについて、浜中先生はこう指摘します。
「新型コロナウイルスがどのように抜け毛に作用しているのかは、残念ながらいまのところはわかっていません。一人ひとりの症例を集めた上で、検討する必要があるので、まだまだ時間はかかるでしょう。ただ、大きな病気をした後は、抜け毛が発生するのはよくある症状です。ウイルスにかかることによる免疫力の低下や炎症反応などが、抜け毛に影響している一因ではと考えられます」
●抜け毛の対処法は、十分な栄養と、良質な睡眠!
コロナ抜け毛の患者さんに対して、いったいどのような対処法があるのでしょうか? 浜中先生によると「抜け毛はコロナ抜け毛に限らず、『十分な栄養』と『良質な睡眠』がいちばんの課題」だそう。
「抜け毛がある状態は、体が弱っている証拠。その状態を回復させるには、栄養と睡眠がいちばん大切です。通常、人間の体に栄養が供給されたときは、心臓などの重要な臓器に先に栄養が優先されます
髪の毛まで栄養が行き渡せるには、タンパク質を中心とした良質な栄養を十分に取ることが必要です。あと、疲れを取って、いち早く体を健全な状態に戻すためには『良質な睡眠』も欠かせません。最低1日6時間の睡眠と、ウォーキングなどの適度な運動を推奨しています」
この対処法は、加齢での抜け毛にも効果的。そのため、外来できた患者さんには、まずは栄養面と睡眠面について、徹底的な指導を行うのだとか。そのうえで、患者さんの髪の毛の状態に合わせて、発毛を促進する外用薬、栄養剤の処方や点滴治療など行っているそうです。
「一度コロナ抜け毛を発症した場合、回復の程度には個人差はありますが、生活習慣を整えて、体の状態を戻していくことで、半年くらいで、以前のような状態に回復できます。なお、コロナ抜け毛はもちろん、自分の抜け毛に気がついたら、できるだけ早く治療を行うほうが、抜け毛の症状を食い止められます」
コロナ抜け毛は無症状者の間でも起こっているとのことなので、仮に自分がコロナの症状がなかったとしても、「あれ、ちょっと自分の髪の毛が薄くなっているかも?」と感じたら、早めの受診を心がけてはいかがでしょうか。