今年の土用の丑の日は、明日7月20日。ウナギ料理といえば「かば焼き」のイメージが強いですが、ウナギの養殖がさかんな静岡県浜松市では、ウナギの素焼きである「白焼き」を、タレと一緒に購入する文化があるそう。
ここでは、静岡県浜松市で30年続くウナギ専門店の店主・井口恵丞さんに、栄養満点なウナギを日常的においしく食べられる白焼き、そしてかば焼きのおいしいつくり方について、詳しく語っていただきました。
ウナギの産地・浜松市では、「白焼き」が愛されていた!
「ウナギは一般的にかば焼きが主流ですが、当店がある浜松では、白焼きがメイン商品です」と井口さん。
浜松は総菜や調理ずみの食材を購入して、自宅でひと手間かける“中食”がさかんな地域。そのため、浜松市の名産であるウナギの食べ方として、自宅でアレンジが楽しめる白焼きが親しまれているそうです。
「白焼きはいわゆる、ウナギの素焼き。味つけをしていない分、味は淡泊で、ウナギそのものの味を味わうことができます」と井口さんは言います。
●ウナギの白焼きのおいしい食べ方
(1)ウナギをオーブンなどであぶって、焼き目をつける。
(2)ワサビしょうゆや塩、ポン酢しょうゆ、ショウガしょうゆにつける。
さっぱりめの調味料に合わせるのが通の食べ方!
ウナギには油が多く含まれているので、さっぱりとした調味料が合うのです。
「塩は素材のおいしさを引き出す調味料として、天ぷらなどにも使用されますよね。同じようにウナギにも合います」
しょうゆとの相性もよく、ただのポン酢よりはポン酢しょうゆの方が合うそうです。
「ウナギに焼き目をつけるのは、焼き方が少ない白焼きでも生臭みを感じることがないようにという理由です。こうすることにより、ウナギを焼いた香ばしさと調味料がより合うようになります。もちろん、電子レンジでよく温めるだけでもおいしいですよ」
白焼きをかば焼きにチェンジ!フライパンでおいしく焼く方法
そして、途中で食べ方を変え、かば焼きにも調理できるのも白焼きの長所です。
「かば焼きに調理する場合、まず、白焼きを食べやすい大きさにカットします」
これは調理するときに、短時間でたれがウナギの中までしみ込みやすくするため。
「お店では網を使うことも多いですが、家庭でつくる際に使うのはフライパン。フライパンはどこの家庭にもあり、また口が広いため、食材をひっくり返しやすい利点があります」
今回は、タレをたっぷりかけたウナ丼をつくっていただきました。
●おいしいウナ丼のつくり方
【材料】
・ウナギの白焼き 1尾(食べやすい大きさにカット)
・かば焼きのタレ 60ml
・ご飯 1人分
【つくり方】
(1)フライパンに、かば焼きのタレ30mlを入れ、ウナギの「身」を下にして入れる。
(2)そのまま弱火で40~50秒温める。かば焼きのタレには、しょうゆや砂糖が含まれているため、焦げやすいので注意!
(3)裏返して30~40秒温める。
(4)もう一度、ウナギの身を下に返して40~50秒ほど温める。濃い目の味がお好みの方は、(4)の状態で10~20秒長く温めます。
これだけで、ウナギの中までタレがしみ込んだかば焼きのできあがり!
(5)調理したかば焼きをフライパンから出し、フライパンに残ったタレに30mlほどタレを追加して温める。
フライパンに残ったタレには、ウナギの油とおいしさが残っているため、それを生かします。
温かいご飯の上に、(5)のタレの半量をかけ、(4)のウナギをのせ、再度(5)のタレを上からかけます。
これでおいしいウナ丼の完成です!
ウナギは栄養たっぷり&糖質少なめの健康的な食材だった
「1人あたりウナギ1尾を食べる場合、半分を白焼きに、半分をかば焼きに調理すれば、サラダとお吸い物を用意するだけで、おいしいウナギ定食を堪能できます」と井口さんは語ります。
かば焼きを購入した場合、真空パックのものは、解凍して袋のまま湯せんで温めるか、真空袋に切り込みを入れ、電子レンジで温めるといいそう。袋から出し、オーブンであぶるとさらに本格的になります。
「ウナギは糖質が低い食材でもあります。ウナギ白焼き100gあたり、糖質はわずか0.1g。糖質オフダイエット中の方や血糖値を気にする方にもおすすめです。ウナギにはタンパク質やビタミン、ミネラルなど豊富な栄養が含まれており、夏バテにはもってこいの食材です」
さっぱりした白焼きは、特別な日でなく日常的にも気軽に楽しめそう。ぜひお試しください。