片づけの際に使っていないものを捨てるとすっきりしますが、思い出深いものを捨ててしまうのは、心が痛みます。
「思い出のものは、無理してすぐに捨てる必要はありません」と語るのは、片づけサポートも行う、ライフオーガナイザーの森下純子さん。
思い出のものを保管したり手放したりする方法について、詳しく語っていただきました。
熟成させた「思い出ボックス」を開く癒やしのひとときは、片づけよりも得難いもの
手紙やノート、子どもの描いた絵や教科書、ヌイグルミや産着…。生きていると増えてくる思い出のグッズ。思い出があるものは大切にしたいですよね。
ものを取捨選択する際に、そのものとの関係を1つ1つ語ることで、思い出も蘇ります。オーガナイザーとして、そんな思い出話を聞くことを、片づけ現場では大切にしています。
思い出のものの片づけは、いくつか方法があります。
●(1)手放せないものは"熟成”させる
捨てることができないときには、熟成させるという方法があります。
私の娘は思い出のものが大好き。もう社会人で一人暮らしをしていますが、彼女が引っ越すときに、実家に残したいものを一緒に分類しました。
紙のボックスに「小学校」「中学校」「高校」と、時系列に仕分けし、実家で大切に保管しています。
無理に捨てずに熟成させることで、次回見直したときに、これはもういいかな…と手放せることも。手放すのにちょうどいい「時」が来るのを待る方法です。
●(2)すぐ取り出せるところに保管する
娘は、たまに帰省するとその熟成ボックスを開き、思い出のノートやヌイグルミなどひととおり見たあと、元気が出た! と言って帰っていきます。
そんな癒しのひとときを家族で共有するためにも、思い出は奥にしまわずに、すぐに取り出せる場所に保管しておくのもコツ。アクションが少ないと、思い出を振り返るのもおっくうでなくなります。
また、いつも押し入れや納戸を整理しておくと、自分の頭も整理されて毎日の暮らしもすっきりします。
●(3)大切な絵や作品は飾って楽しくながめる
大切な作品や思い出のものは、壁に飾って楽しむのも心が豊かになる方法のひとつ。
たとえば子どもの作品などは額縁に入れて飾ったり、アートポスターにすると、暮らしのなかで思い出に親しめます。
●(4)時間をかけてゆっくり手放す
片づけの現場では、捨てることを強要することはけっしてありません。その方の心が納得いく方法で片づけていきます。
ものを捨ててきれいに片づけることは一時的にすっきりするかもしれませんが、捨ててしまったあとで後悔することも。
思い出のものは無理して捨てなくてもよいのです。納得いくもののもち方、残し方を見つけて、心豊かに暮らしましょう。