●保護猫が譲渡会デビューするための準備

猫と子猫
川上さん宅のタックと預かった子猫
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保護猫が譲渡会をとおして里親さんに渡るまでの大まかな流れは、動物愛護団体や個人(保護主)で保護→保護主がワクチン接種含め、譲渡できる状態になるまでしばくお世話→譲渡会で里親の元へ、というような形が基本。動物愛護団体で保護した猫は、今回の私のように、希望者がボランティアで譲渡会デビューまでのお世話を引き受けることもあります。

そんな保護猫たちが譲渡会にデビューするまでには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。子猫であれば、食べることも排泄も自立し、ワクチン接種をすませていること。人に慣れていること。

子猫3匹がくっついている様子

私が預かった3匹は1か月ほどをわが家で過ごし、幸運にも無事に兄弟3匹そろって、譲渡会をとおしてある家族のもとに譲渡が決まりました。

 

子猫の場合は、人に慣らすことにそれほど苦労することはありませんが、保護主さんたちのお話を聞いていると、成猫となって保護された猫たちのなかには、かなり人間に怯え、凶暴な猫も多いそうです。

 

そんな猫を、人間とともに暮らせるようにするためには、相当な努力と忍耐、そしてなにより愛情が必要となりますが、長い時間を経て、人に慣れてくれた猫の愛おしさもまた格別であることは間違いありません。

窓に子猫

譲渡が決まったときの気持ちは、うれしさと寂しさの入り混じった不思議な感覚で、私自身、譲渡後数日は、心にポッカリと穴が開いたようでした。それでも、今では新しい家族のもとで暮らす3匹の近況が届くたびに、微笑ましい気持ちで満たされます。

●譲渡会は保護猫に触れ合える場でもあります

里親になりたいと希望した場合の条件については、譲渡会を開催するボランティア団体さんによって多少の違いはあるようです。年齢や生活スタイルなどに非常に厳しい審査があるという話もよく耳にします。

背景には、譲渡先での虐待事件が多発したことなどが影響していますが、私が協力している「

しあわせにゃんこ

」という団体さんは、条件の幅をできる限り希望者に歩み寄りながら、完全室内飼育を条件に譲渡を行なっています。

譲り受ける際にかかる費用(譲渡費)は、主宰する団体によっても異なりますが、保護されている間に受けたワクチンや検査、不妊手術、運営費などの一部を負担する形で、大体2~30000円~という場合が多いようです。

ゲージに猫

昨年の2020年はコロナ禍にありながら、しあわせにゃんこさんとともに行った譲渡会で300匹近くの猫たちにご縁が生まれました。

 

猫保護主さんの活動を間近で知るようになり、さまざまな問題をより強く感じるようにもなりました。保護主さんたちの活動には、本当に頭が下がります。

 

その反面、ヒステリックに猫たちが抱える厳しい環境を伝えても、なかなか受け入れてもらえない現実もあります。地域での猫の保護活動には、猫を好きな人よりも猫を嫌いな人の方が協力的な場合がよくあるそうです。

 

気持ちを柔軟に、人と猫との共生を考えていかなければと感じる日々。譲渡会には、飼いたくても飼えない猫好きな方が、触れることだけを目的に来場されることもあります。ぜひ一度気軽に譲渡会を訪れ、現場で活動しているスタッフさんに耳を傾けてみてください。

 

 

【川上麻衣子さん】

女優。1966年生まれ。14歳でデビューし、数々のテレビ・映画・舞台に出演。愛猫家としても有名で、2018年に仲間とともに一般社団法人「

ねこと今日 Neko-to-kyo

」を立ち上げ、理事長を務める。2019年千駄木にサロン「Maj no ma(まいの間)」をオープン。YouTubeチャンネル「

川上麻衣子ねこと今日neko-to-kyo

」にて動画も配信中。著書に『

彼の彼女と私の538日 猫からはじまる幸せのカタチ

』(竹書房刊)など