新型コロナウイルスの影響により、「このお盆は実家に帰れない」という人も多いはず。毎年、娘や息子一家の帰省を楽しみにしていた実家の両親にとっても、寂しい夏になりそうです。
会いに行けないなら、せめてビデオ通話を使って孫の成長を見せてあげたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、高齢のシニア層の方々にとっては、スマホの操作だけでも大変。スマホを使ったビデオ通話のハードルは高いかもしれません。
ここでは高齢者向けスマホ講習会の講師なども務める編集者の小林奈巳(女子部JAPAN(・v・)/都恋堂)さんに「いちばん簡単なスマホでビデオ通話の始め方」を解説してもらいました。
実家の親に「スマホでビデオ通話」を教える方法
●スマホ特有のタップ操作に慣れて、電話を耳に当てない通話方法をマスターしよう!
「スマホを始めたばかりの高齢者の方々は、画面をうまくタップできなくて苦心される方も多いようです。タップの時間が長すぎてアプリの削除画面になってしまったり、タップしたつもりがスワップして別の画面が変わってしまったり…。ただし最近のスマホはタップを感知する感度も格段に向上しているので、苦手でも電話番号をタップして電話をかけたり、アプリをタップして開くこともやりやすくなっていると思います」と小林さん。
その先の難関は「フリック入力」ですが、幸いにもビデオ通話の場合、文字入力は必要ありません。ただし、ビデオ通話特有の“通話方法”には注意が必要です。
「シニアの方は電話というと耳に当てて話すもの、と認識されている方も多いかもしれません。ところがスマホの場合、通話画面のスピーカーフォンをタップすれば、スマホを耳に当てなくてもスピーカーから相手の声が聞こえ、スマホ内にあるマイクで自分の声を相手に伝えてくれます。ビデオ通話は、スマホの画面で相手の顔を見ながら会話するので、スマホの画面と向き合う形で通話をするという方法に慣れていただくのが、ビデオ通話を始める第一歩かもしれません」
●いちばん簡単なのはLINE。「ビデオ通話」をタップするだけ
NTTドコモのモバイル社会研究所によると、高齢者の利用率がいちばん高いSNSツールはLINE。60代で61.1%、70代でも46.2%とシニア層でも圧倒的な利用率を誇っています。
「LINEのアカウントをつくるのに必要なのは電話番号とSMSに送られてくる6桁の入力番号だけ。とてもハードルが低く、あとはアカウントのパスワード登録が難所ですが、一度登録すれば自動ログインですぐサービスにアクセスできます。とはいえ高齢者の方がご自身で設定するのは難しいかもしれませんので、その場合は周りのご家族の方がインストールとアカウント登録の部分を手伝ってあげてください。それができれば、ほぼ9割方、ビデオ通話ができるようになりますよ」
というのも、LINEの場合、登録した友だちとのトーク画面上に「ビデオ通話」ボタンが標準装備。そのボタンを押すだけで簡単にビデオ通話ができてしまうのです。
「コロナによるリモートワークの普及で、巷ではZoomやGoogle hangoutを使ったビデオ会議が大流行していますが、ともに、ビデオ通話するにはURLの送受信が必要で難易度が高めです。その点、LINEは標準画面上にすでに『ビデオ通話』のボタンがあり、そのボタンをタップするだけで相手とビデオ通話できるので、高齢者の方にとって難易度がいちばん低いビデオ通話アプリといえるでしょう」
●ビデオ通話で「顔を見る」から「かくれんぼする」まで楽しめる!
いったんビデオ通話の楽しみ方を覚えたら、便利すぎて、やめられないはず。
「ビデオ通話ボタンを押すだけでお孫さんの顔を見て話せるだけでなく、宿題を教えたり、ペットを見せ合ったり、LINEに装備されているゲームに興じたり、ビデオ通話の楽しみは無限に広がります。スマホスタンドを買ってスマホを固定すれば、二人で楽器を演奏しあったり、子どもたちとかくれんぼして遊んだりもできます。少し難易度が高いですが、グループ通話機能を使えば、離れ離れの家族全員でオンライン夕食会を開いたり、自分のスマホにある昔の孫の写真を一緒に見たり、データ共有や複数の人たちとのビデオ通話も可能になります」と小林さん。
コロナ時代の必需品といえるビデオ通話。コロナの影響が長引きそうな今、もしものときのためにも、ぜひ実家のご両親にビデオ通話のやり方を覚えてもらったほうがいいでしょう。
小林さんが中心となって編集したムック『
孫の顔が見たい! はじめてのスマホでビデオ通話』(扶桑社刊)を読めば、スマホの操作が苦手、ビデオ通話なんて無理! というシニア層でも簡単にスマホでビデオ通話ができるようになります。
ビデオ通話を使ったお孫さんとの遊び方や友人との交流方法なども詳しく紹介しているので、ぜひ、参考にしてみてくださいね。