「事実と感情を分ける」と、物事を客観的にとらえられるようになる

胸をおさえる女性
不安を取り除くための行動なのにどんどん不安に…(※写真はイメージです)
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ひとつのことに熱中するあまり、自分の精神や健康、生活をもその対象にコントロールされてしまうのは、いわゆる依存症と同じなのですが、涼子さんの場合、本来不安を取り除くためにしていた占いだったにも関わらず、新たな不安を生み出す結果になり、ますます不安定になっていった例です。

じつは涼子さん以外にも、同じような人に何度か出会ったことがあります。いろんな占い師を渡り歩く「占いジプシー」と呼ばれる人たちもそうですね。

●自己肯定感が低いと、なにが起きやすいか

この状態になりやすい人の特徴として「自己肯定感の低さ」があげられます。
そのため、不安な感情や周りの言動にすぐ反応してしまう傾向があります。そのため、客観的に考えるという部分が抜け落ちてしまうことがあります。

では、どうすれば涼子さんのように反応的にならず、客観的に物事を捉えられるようになるのでしょうか? 私は

「事実と感情を分ける」

ということをオススメしています。

私たちが何かに対して不安になったり、落ち込んだりするとき、またはその逆で喜んだり嬉しくなったりするときは、必ずその直前にきっかけになった出来事があります。

たとえば「職場で同僚に挨拶をしたのに無視をされてショックだった」という場合、「職場で同僚に挨拶をしたら返事がなかった」というのが事実です。そして「無視されたと感じてショックだった」これが感情になります。
こういう風に分けて考えてみると、自然と客観視ができるようになります。そうなると「返事されなかったくらいで落ち込む必要はないな」とか「そういえば以前も同じようなことがあったけど、いつの間にか忘れていたなあ」といったことがわかりはじめます。

●日常生活で「練習」するのが大切

もちろんすべての出来事に対してこのように対処できるわけではありませんが、それでもいくつかの不安が客観視によって解消できれば、本来しなくてもよかった行動を防げますし、そのことにとらわれる時間も減少します。そしてこの状態が少しずつメンタルの安定に結びついていくわけです。

こうなるためには、不安な出来事が起こったときだけでなく、日常生活でとくに問題がないことで「事実と感情を分ける練習」をするとよいでしょう。
「今日、ケーキを食べたらおいしかった」というのを「今日ケーキを食べた」(事実)、「おいしいと感じた」(感情)という具合です。まずは楽しみながら練習してみてはいかがでしょうか。